通勤電車の吊り革につかまって窓の外を眺めて、何か面白い事ないかなと思うのです。
これから仕事で8時間がつぶれるけど、別に苦になる業務が待ち構えているわけじゃない。
だからこそ、一層、何か刺激になるような面白い事を求めたいのかもしれませんね。
と、ふと「お笑い芸人って大変な仕事だよな」と思ったのです。
自分を楽しませる事すらできない人間がここにいます。
でも、彼らは見ず知らずの人を楽しませなきゃいけないんだ、と。
「だって、それが仕事だもの」とドライに返してくる人のもいるけど、相当キツい仕事だよ、とつくづく思うのです。
回りを見渡すとネガティブ人間がゾロゾロ
自分の回りをぐるりと見回すと、いるいるネガティブ人間が。
あっちにもこっちにも。
「最近さあ偏頭痛が激しくて、突然来るよんだよね」
「良く眠れないから、朝起きても疲労感が凄くてさ」
こんな愚痴ばっかり。
自分にハンディキャップをくれ、って言っているのでしょうね。
こういう人って結構いるから、回りを、観察してみて下さいね。
だいぶ昔の話しです。
オレがまだ高校生の頃。
その日に限って、授業中に先生がオレを指名するの。
「じゃ次のページを誰か読んでくれるかな」
と教師は言いながら教壇に置いてある座席表を手にとる。
「戸田、オマエ読んでみろ」となる。
数学の授業では、黒板に宿題の応用問題を書いてみて。はい、戸田!
神聖ローマ帝国を作ったのは誰?先週教えてばかりだぞ。ほら、戸田、わかるか?
「ちょっと待って先生。オレに分かると思いますか?世界史の前回のテストの点数、先生覚えてる?一桁の後半の素数だったでしょ。」
「7点か?」
「そう、その通り。そんな俺に神聖ローマ帝国がどうのこうの言ったって無理じゃないですか」
「確かにな。でも、ほれ、ここに」と座席表を指差す。
そかには、俺の名前から横に線が伸びていて『絶好調です、バンバン当ててください』と書いてあったのです。
なるほど、そういう事か、と納得し、その悪魔の言葉を砂消しで消したのです。
この一件があってから、座席表への意思表示が流行ったのです。
「今日は予習が不十分です。当てないで下さい」
「愛犬が死んでしまい、まだ心が立ち直っていません。せっかくの授業ですが先生ゴメン」
たいていは、ウソのハンディキャップ狙いです。
これが面白半分でどんどんエスカレートし、数日後には座席表への注記が禁止されたのです。
面白い事を考えだすには
お笑い芸人だから面白い事を考え、演じるのが仕事です。
でも、自分を乗せていかなくちゃ、みんなを笑わせるネタなんて思いつかいですよね。
それこそ、自分の親が無くなった日の晩に「漫才のネタを考えろ」って言われたって、そんなのできるわけがないでしょ。
それが、コントや漫才のネタじゃなくて、ごく普通の物だったら何とか書けるかもしれない。
湿っぽくて感傷的な気持ちを引き出しに押し込んでしまえば、悲しい話しでも、ミステリー系でも、オカルトでもなんとかなると思うのです。
でも、お笑いはどうにもならないでしょ。
人を笑わせる事を真剣に考える
どうも、お笑いのネタってヘラヘラしながら考えるわけでもないようなんです。
順番が逆で、超真剣に眉間に皺を寄せて面白い事を考えているうちに、自分自身も笑えてくるというパターらしいのです。
例えば、こんな感じのようです。
「凄くせっかちな友達がいましてね」
「せっかち?」
「あわてんぼうというか、落ち付きがないというか」
「ほほーう、どんな人なの」
「例えばね、大きい方をもよおしてトイレ行くでしょ。個室に入るなり、いきなり便座に座って力んじゃうの」
「ヤバイじゃん」
「お漏らしとおんなじですよ」
こういうちょっとしたネタが出来たら、あわてんぼうシリーズをどんどん考える。
オレには、もっと凄い奴がいるよ、っていうストーリー展開にするらしいんです。
「カラオケ行くでしょ」
「うん、今はコロナだから少し控えてるけど、嫌いじゃないな」
「そいつ、カラオケの部屋に入るなり何の曲も選択しないで、マイク大音量で歌うの。曲入れてる時間がもったいないから一曲目はいつもアカペラなの」
「そいつ、レトルトカレーなんて温めないからね」
「そのまま?」
「ご飯が暖かければ全然問題ないって、温めずにそのままかけるよ」
「インスタントラーメンなんて熱湯に麺と粉のスープ同時に入れて、煮ながらバリバリ食い出すよ」
人を楽しませようとすると自分がワクワクしてくる
自分の気持ちが暗いときでも、人を楽しませようと真剣に考えているとだんだんと心が上向いていくものです。
お笑いのネタでもそうだし、料理や掃除でも同じなんです。
本格イタリアン作ったらびっくりするだろうなあ、って思いながらメニューを決めて食材を決めて、一生懸命作っているうちにだんだん楽しくなってくるものです。
家の掃除も同じで、帰ってきて家がピカピカだと絶対に驚くな。
そんな気持ちで家を掃除していると、こっちがだんだんとハッピーになってくるのです。
【広告】
関連記事
【広告】