冷静な子供は悪魔をメンタル対決に持ち込む
世の中には大人がびっくりするくらい冷静な子供がいるのです。
彼は明るくユーモアのあるごくごく普通の小学校4年生。
趣味は映画鑑賞で、邦画、洋画にかぎらず、どんなジャンルでも好奇心旺盛に見入るわけです。
先日、彼の父親が『エクソシスト』と『オーメン』のDVDをレンタルしてきて親子で鑑賞したとのこと。
その際に子供から受けた質問で「なんと冷静な子供なのだ!」と感じたらしいのです。
父親から息子に問いた質問とは、意外にも安直な『エクソシスト』と『オーメン』どっちが怖かった?という物。
息子はそれなりに、どちらも怖かったし興味深く観ていたという反応。
しかし、彼の心に大きな疑問が浮かんだのです。
「悪魔っていうのは人間に取り憑くものなの?それとも、ダミアンみたいに人間の姿をしているの?」
確かにこの質問は鋭い、と父親は感じたわけです。
エクソシストでは得体の知れない邪悪なものが少女の体に取り憑いて悪魔としての存在感を現わす。
かわいらしい女の子の顔が、みるみる傷だらけの獣のような顔面に変貌し、首を180度回して緑色のゲロを吐く。
人間に取り憑く事で、正体を現し、傷つける相手は取り憑いた少女の肉代だ。
一方、オーメンでは悪魔の子供のダミアンが成長するとに従って周囲を災害災難に巻き込んでいく。
可愛い顔をした少年ダミアンが悪魔そのものなのだ。
我が子から鋭い質問を受けた父親にはどちらが正解なのか分からない。
どちらもウソかもしれない、とも思う。
悪魔の定義を決めてみた
親子の会話はこんな方向に展開していったのです。
悪魔とは得体の知れない邪悪な魂のような存在で、人間の身体に取り憑く事によって物体としての存在感を現わす。
取り憑かれた人間は、思考も肉体も悪魔の支配下にはいり、蝕まれ、傷つけられ、最後にはズタズタにされて死んでしまう。
悪魔が何の基準をもって取りつく人間を品定めしているかはわからない。
それとも、悪魔とは人間とそっくりの姿をしていて、我々人間社会に溶け込んで存在している。
見た目だけでは、絶対に正体はからない。
人の意志を簡単に操作し、自殺に追い込んだり、殺人を犯させたりする。
人間社会に不可思議な災厄を起こして、人類の滅亡へと導いている。
さて、小学校4年生の子供はどちらの悪魔を恐れたでしょうか?
「やっぱり、僕はエクソシストにでてくる悪魔の方が怖いな。得体が知れないし、もし取りつかれでもしたらいやだもの」
「それじゃあダミアンは怖くないのか?」
「怖くないことはないけど、特殊な杭みたいので刺せば死ぬでしょ?捕まえて刑務所に入れる事もできるでしょ」
「でも人間の意志を操作するぞ、刑務所の監視さんを操作して、すぐに脱獄しちゃうよ」
「確かに」
子供は腕組みをして暫く考えていたそうです。
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現代っ子にとって悪魔祓いはAIの仕事
暫くして子供から、いかにも現代っ子らしい提案があったとのこと。
「人工知能ならエクソシストに出てくる得体の知れない悪魔にも、ダミアンにも絶対に勝てる!」と。
まず悪魔祓いの儀式を徹底的にAIに覚えさせる。
さらに、悪魔の嫌いな呪文、聖書の一語一句、悪魔を挑発するような台詞、威嚇する言葉、とにかく効果が有りそうな言葉は全て覚えさせる。
悪魔払いの儀式を開始するなり、いきなり人間型のAIロボットが、悪魔に取りつかれた子供抱に抱き着く。
当然、悪魔ごと抱き着くわけ。
AIロボットは首や手足の関節を悪魔が力ずくでねじ曲げないよう頑丈に保護する。人間の首を180度回すような、エグイ悪魔技を封じ込めるわけです。
人体として、フィジカル的なダメージを負うのを全て防ぐというわけです。
ここでメンタル対メンタルの戦いになる。
いよいよ悪魔とエクソシストAIの戦いです。
あらかじめ覚えさせておいた悪魔の嫌いな呪文、聖書の一語一句、悪魔を挑発するような言葉、威嚇する言葉をAIロボットは唱え続ける。
何度も何度も繰り返す。
悪魔がこちらの感情を揺さぶるような発言を投げてきても全てスルーし、お返しに聖水を悪魔にぶっかける。
悪魔がキモイ緑色のゲロを吐きそうになったら、急いで口物に洗面器を差出し、人間型AIロボットは悪魔の背中をさすり、思う存分ゲロを吐かせる。
口元をティッシュで拭きとって、おでこに十字架を押し付ける。
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エクソシストはAIにかぎる
AIがあたり前の時代になりつつある現代っ子にとってみれば、ホラー映画の金字塔『エクソシスト』に登場する悪魔など、取るに足らない存在のようです。
取り憑かれたら気持ちが悪い、という感覚はある。
でも悪魔に何かできるのかという観点から言えば、取りついた女の子を傷つけるだけ。
周囲に対する影響力があるわけではない。
悪魔を少女の肉体から追い出そうとした年老いた神父を心臓麻痺に追い込んだけれど、冷たく言うと自業自得。
心臓が悪いのに、悪魔相手に一肌脱ごうなど無理無理って子供心に思うわけ。
だから、悪魔にできることと言えば、少女の肉体に宿り続けるだけ。
神父は聖書を読み、聖水をふりかけ、十字架をかざし、少女の肉体から追い出そうとする。
確かに少女も、その家族も気の毒だけれど、感情を持たないAIにはうってつけなのが、悪魔祓いに思えると子供は言うのでした。
「それならオーメンにでてくるダミアンだったら?」
「どいつが悪魔なのかが特定さえできれば、あとはちょろいけどね」と。
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