罪の意識が心を乱す|追い詰められる恐怖 から逃げられない

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罪の意識が心を乱す

薄く開かれたドアの隙間から覗き込まれているような感覚。

罪の意識が心を乱している証拠です。

屋根裏から天井に耳を押し当てて、こちらの様子を盗み聴きされているような不安。

強がっても潜在意識が震えているのです。

車の後部シートに身を潜め、オレの首にロープを引っ掛けるタイミングを計っていると 脳裏をよぎる一瞬。

 こんな気味の悪い妄想に、四六時中、まとわりつかれたら心は乱され精神が休まることはないですよね。

じっくりと追い詰められる恐怖の裏には、罪の意識が隠れているのです。

犯罪者が警察の捜査網を物の見事にすり抜けて、遠方まで逃げおおせたとしても、 その後に待っているのは途方もなく長い逃亡生活なのです。

罪の意識とは、自分との闘いであり、心を乱しにかかる不安をどう手なずけるかが問題なのです。

追い詰められる恐怖が、注察妄想、追跡妄想となり、にじわりじわりと精神が蝕まれてゆくのです。

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完璧と思っていたが、その心をも乱されてゆく

 別人に成りすまして生きていこうと整形手術で見た目を一変させたとしても、  心穏やかに居られることはないのです。

完璧のつもりでいても、そんなに甘くないことは自分が一番知っている。

潜在意識が値を上げて、不安が顕在化してくると、居ても立っても居られない。

無理矢理自分に言い聞かせるのです。

5年、10年と警察の手を逃れているのだから、初動捜査には失敗しているにちがいない、と。

だとすれば、足がつくとすれば指名手配のモンタージュ。

整形手術で外見はかなり当時と違っているはず。

だとすれ、それ以外にどんな手がかりがあるというのだ。

犯罪当時の自分から今を連想させる手がかりはことごとく避けてきた。

 知人を頼ることもせず、土地勘のある場所も全て避けてきた。

強がりを並べ立てて、自分を鼓舞する。

しかし、指名手配の裏情報があるのかもしれない、と罪の意識が頭をもたげる。

心の中で水と油をかき混ぜているようだ。

すでに殺人事件には時効制度は適用されない。

終わりが無い戦いに引きずり込まれた感覚だ。

逮捕されずにここまで来たけれど、「してやったり」などという誇らしさなどとっくに消え去っている。

犯人は心理的に逃げ場をうしない、ますます追い込まれていく。

罪の意識と自信の欠如が妄想を抱かせ、心を乱す。

警察は全国から寄せられる情報から、今この時間もオレの所在を割り出そうとしている。

かつて、間一髪のタイミングで警察から逃げたこともあったが、一歩間違えれば逮捕されていた。

 かつて犯罪ドキュメント番組で見た一場面が思い出される。

 逮捕された犯人の口から漏れた意外な言葉だ。

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逮捕してくれてありがとうございます

 

「逮捕されてほっとしました。これでぐっすり眠れます」と。

これだけ長い間、身を潜めて生きながらえてきたのに、今更なんだ、 と思うかもしれませんが、どうもこれは本当のようなのです。

偏見に満ちた世界観で、正義を貫くために実行した犯罪だと自らを鼓舞した勢いは長い逃亡生活で色褪せた。

重大な犯罪を起こすような人間だから、もともと粗い精神構造で出来上った人なのかもしれない。

そんな人間ですら、たっぷりと時間をかけて追い詰められてくると、粗い歪んだ精神でも痛みを感じるのだ。
 

罪の意識と逃亡生活が精神を蝕んでいったのだ。

数百円たらずの万引きなのに

罪の意識が少しでもあると、注察妄想、追跡妄想が猛烈な力で襲いかかるのです。

たった数百円の万引きである。

うまくスーパーマーケットの出口を通り抜けて帰宅できたとしても、誰か知り合いに見られていたのではないか、防犯カメラに映ってしまったのではないかと心が乱される。

それをネタにいつか脅しを掛けられるかもしれないと、びくびくしはじめる。

小説や論文、作詞、作曲の盗作なんかの場合は、どこかに原作を知っている奴がいやしなかと 気がきではない。 

彼らの深層心理は、時間がたっても安堵することはない。

罪の意識が、追い詰められる恐怖を生み出すのだ。

不安が顕在化してはかき消し、浮かび、再びかき消す。

この連続が罪の意識を深く刻み込んで、注察妄想、追跡妄想がいよいよ身に沁みてくる。

 もはや良心の呵責で心が痛むのではない。

 注察妄想、追跡妄想が寝ても覚めてもまとわりついてくる。

 観られていること、追い詰められていることが恐怖なのだ。

 そうしているうちに幻聴や幻覚が発症する。

 いい加減にしてくれ、もう、耐えきれない。

 じっくりと追い詰められる恐怖に苛まれ、心の均衡が崩壊する寸前で家族に打ち明け、 警察に出頭することになるのです。

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