パニック障害者がアメリカに住む事に

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アメリカ出張3ヶ月

 

三ケ月間のアメリカ出張を

悩みに悩んだ末、承諾しました。

 

 

あらためて冷静になって考えると、

途方もなく長い期間に感じられました。

 

しくったか!って感じです。

 

それまでの海外出張みたいに

薬を多量摂取して自分自身を

騙し通すには日数が多すぎますよね。

 

 

三ケ月もの間、

あんな無謀に薬物摂取をし続けたら

副作用がでてくるにきまっていますから。

 

 

 

それに車社会のアメリカで、

精神安定剤の多量摂取などして

居眠り運転で交通事故でも

起こしたら大変な事になる。

 

 

いっきに不安が押し寄せてきて

首筋と後頭部がカッと熱くなりました。

 

 

でも今更焦っても仕方ない、

日本に居るのだからじっくりと

事態を整理するしかないのです。

 

 

まずはいつもの医者の所に行って、

アメリカで薬を処方してもらうための

紹介状を書いてもらうことにしたのです。

 

 

アメリカだって日本と同じ、

パニック発作・不安障害で

苦しんでいる人はいるはずです。

 

 

同じような効き目の薬など

山ほどあるに違いない、

と自分に言い聞かせました。

 

 

予期不安

 

 

次の心配事はアメリカでの

土曜日、日曜日をどう過ごすかです。

 

 

平日は仕事をしているから、

それなりに気分も紛れるでしょうか、

休みの日は時間を持て余すに違いないのです。

 

 

 

予期不安に悩まされるのは目に見えているのです。

 

時間を持て余すと、とたんに余計な事に意識が行きます。

 

 

パニック発作がでやしないかと、

そればかりが気になるはずなのです。

 

 

 

のんびりとストレス解消に時間を

費やせればいいのですが、

不安感で憔悴しそうなのです。

 

 

時間を潰せる何かを今のうちに

見つけておかないと、

という事で思いつくままに書きだしたのです。

 

 

 

読書をする、

絵を描く、

ジョギングをする、

ストレッチをする、

料理を作る。

 

 

 

これしか出てこない。

 

行く先の環境がわからないから、

イメージがわかないのです。

 

 

脳みそが機能してくれない。

 

とりあえず書くだけ書いておく。

 

現地ではレンタカーを

3ケ月借りっぱなしでよいらしいのです。

 

住むのは一般のアパートで自炊とのこと。

 

手配はすべて会社の総務部が済ませておいてくれるので問題はないのですが、

なにしろどんな所なのかが分からなのです。 

 

 

 

 脳内伝達物質

 

唐突ですが、人間の心って不思議ですね。

 

 

出張に対してネガティブで

消極的かつ不安でいっぱいになる時と、

積極的とまではいかないけれど

楽観的で居られる時とがあるのです。

 

 

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そりゃあ人間だもの、

誰だって良い時もあれば悪い時もある、

と言ってしまえばそれまでなのですが。

 

 

 


潜在意識が脳に働きかけているのでしょうか?

自分で自分が分からなくなります。

 

しかし、楽観的、消極的、不安などというものは

本当は心でなく脳の中で起こっている事なのですね。

 

 

脳内伝達物質の影響なのでしょうが、 

同じ脳なのに、なぜこんなにも反応がコロコロ

変わるのでしょうか?

 

 

アメリカに住む事に潜在意識が

引き寄せられているのでしょう。

 

 

それにしても、パニック発作などという

嵐がなぜ引き起こされるのでしようか。

 

 

 

出発までの数日間は不安と、

“やや落ち着き”の間を行ったり

来たりさまよう精神状態でした。

 

 

 

これからの三ケ月間は人生における

勝負なのだと自分に言い聞かせたり、

三ケ月が無事終了し、帰り支度をする

光景を想像してみたり、

とにかく落ち着かない日々だったのです。

 

 

 

閉所恐怖症の飛行機より、アメリカ居住に不安が

 

飛行機に乗るという恐怖よりも、

遠いアメリカで三ケ月間も暮らさなければ

ならない事への不安が大きくなっていました。

 

 

 

もちろん不安の種はパニック発作なのですが。

 

 

 

 そしていざ出発の日を迎えました。

 

 

起床後ただちにソラナックスを呑み下し、

強制的にリラックスモードに切り替えたのです。

 

目的地に到着するまでは安全に行こうと考えていました。

 

 

安全というのは精神安定剤を

多少多めに呑んでもいいから、

パニック発作を避けるという意味です。

 

 

 

飛行機では睡眠剤が3時間程度で切れてしまう為、

気が付いたらアメリカだった

という甘いシナリオは成功しませんでした。

 

 

 

安定剤と睡眠剤とで頭はボーッとしていますが、

眠れていない状態。

 

 

たぶん、家のベッドなどなら

深い睡眠に入れるのか知れませんが、

エコノミークラスの飛行機で座ったまま

熟睡するのは不可能なのでしょうね。

 

 

 

一度、デトロイトで乗り換え、

国内便で2時間、目的地に到着しました。

 

 

 

 

パニック発作に襲われることなく

まずは上々の出だし。

 

 

暮らす地は典型的なアメリカの田舎町でした。

 

 

巨大スーパーマーケット、ショッピングセンター、

ゴルフの打ちっ放し場などなどが点在していて

車無しでは生活できない環境です。

 

 

早速、アパートに備え付けの電話帳で病院を探します。

 

 

Family Medical Care とい名前の病院を発見しました。

 

 

住所からみても、さほど遠くはない。

 

 

名前から、なんとなく安心感が得られます。

 

 

仕事のことは細かく書くことができないのですが、

朝7時から夕方4時までの勤務で、

一人アメリカ人の秘書のおばちゃんがついてくれるのです。

 

 

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電話などで現地の人と交渉しなければならない場合には、

その秘書のおばちゃんに説明し、

電話でのやり取りをお願いするという方法をとります。

 

 

 

  とてもネイティブと電話で話をできる

実力はありきませんから、

そこは会社側も理解してくれていて、

申し分のない手段をとってくれたと感謝したのでした。

 

 

 

仕事の後、早速 Family Medical Care に向かったのです。

 

 

保険を使わない全額自腹での受診です。

 

 

果たして幾らかかるのだろうか?

 

そんな心配も少しありながら、

とにかく薬を処方してくれるところを

確保するのが先決です。

 

 

もし Family Medical Care では処方できないと言われれば、

すぐに別の病院を探さなければなりません。

 

 

こぢんまりとした町医者風で

待合室には5~6人がベンチに座っていました。

 

 

 

受付で初診である事を告げ、

日本の医者が書いてくれた手紙を渡すと、

受付の人がその場で目を通しベンチで座って待つようにとの指示。

 

 

30分くらい待たされたでしょうか、

やっと呼ばれて診察室に入りました。

 

 

診察室は日本もアメリカも

大した違いはありませんね。

 

 

机と椅子と患者を寝かせて

診察するための細長くて硬めのベッド。

 

 

患者用の椅子に座り医師と対面です。

 

40代くらいの、がっしりとした体形の黒人医師でした。

 

 

とにかく、この医者は話しかけてくるのです。

 

 

「何しにアメリカに来たの?」

 

「アメリカは初めてか?」

 

「調子はどお、眠れる?」

 

「アメリカの食い物は口にあうか?」

 

たぶんリラックスさせようとしてくれているのでしょう。

 

 

ニコニコしながら、

こっちがまともに答えられなくてもどんどん質問してくる。

 

横にいる看護婦さんを指さして、

 

「こいつはベジタリアンなんだ。

だからステーキは食べない。

クレージーだと思わない?」

 

日本の医者とかなり違う雰囲気。

 

 

「あっこの手紙だけどコピーを取らせてもらって構わない?」

 

 

たぶん、処方した薬で問題が起きた場合に備えているのでしょうね。

 

 

当然といえば当然ですね。

 

「じゃ胸の音聞かせてくれる?」

 

聴診器で音を聞くジェスチャー。

 

「チェスペイン?」

 

何、何ってんの?

 

「チェスペイン?」

 

 

ん?

 

医師は自分の胸を指さして、

「チェストゥ」と発音しました。

 

 

ああ、チェストね、胸のことね。

 

 

 

とするとペインは痛いか?

 

胸痛い?って聞いているのか。

 

「イエス、イエス」

 

 

「ユー、ペイン!」

 

 

あっ間違えた、

 

 

「ノーノー、ノットペイン」と訂正した。

 

こんな調子で10分近くやり取りをした。

 

「ユーハブ アレジー?」

 

またまたわからない言葉だ。

 

 

「アレジー?」と聞き返してみた。

 

 

黒人医師は手元にあった紙にスペルを書いてくれました。

 

 

見慣れない単語だが、ゆっくり綴りを見返すと、

なるほど、アレルギーの事ね。

 

 

 

今度はうまくアレルギーは無しです、

と答えることができたのです。

 

 

一か月分の薬を処方してもらい、

大きなスーパーマーケットの奥にある

薬剤コーナーで薬を買うことができたのです。

 

 

 

これは大きな収穫でした。

 

 

見知らぬ地で医者にかかり、

薬を処方してもらった。

 

 

ほんの少し自信を持つことができたのです。

 

 

  一か月後、再び Family Medical Care を訪れました。

 

 

薬がなくなる前に再び処方箋を

出してもらわなければならないからです。

 

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今度は英語の辞書を片手に診察室に入りました。

 

 

医師も覚えていてくれたようです。

 

 

前回のように気さくに話しかけてきてくれます。

 

 

今回はこの医師に自分の病気について

質問しようと事前にメモを用意しておきました。

 

 

パニック障害という病気は治るものなのかどうか。

 

 

黒人医師は答えてくれました。

 

 

「パニック障害は治る病気だよ。

でも再発する確率が高いのも事実なんだ。

 

半分くらいの人が再発している。

 

でも病気なんてそういうものでしょ。

 

一生に一度しか風邪を引かない人なんていない。

 

みんな風邪は再発する。

 

パニック障害も同じように考えればいい。

 

深刻に考えすぎないのが健康でいる秘訣なんだよ。」

 

 

 

 

「ワタシは今使っている薬を一生涯飲み続ける必要がありますか?」

 

 

「うん、その質問はいかにも日本人的な質問だね。

 

アナタは今使っている薬を大げさに考えすぎている

 

こんなの一種の栄養剤みたいなものだよ。

 

アメリカ人は30歳過ぎるくらいから頻繁に使い始めるんだ。

 

安全性も充分確保されている薬だからね。

 

メンタルだって年齢と共に疲労してくる。

 

プライベートでも仕事でもストレスが

掛かってくる年齢で、脳の中も正常に

働かなくなることも出てくる。

 

身体だって同じだろう。

 

 

腰が痛くて歩けないとか、

肩が痛くて腕が上がらないとか、

胃が痛くてものが食べられないと。

 

 

それと同じように脳にも睡眠だけでは

回復しきれない疲れが出てくるんだ。

 

 

眠れないっていう症状が出る人もたくさんいる。

 

だから脳のための薬を飲むんだ。理にかなっているだろう。

 

 

もっと気楽に考えて、楽しい事に目を向けなきゃ」

 

 

「今使っている薬でたいていは問題なく

生活できているのですが、たまに夕方から

夜にかけて不安な気持ちになる事があるのです。

 

パニック一歩手前って感じです」

 

 

 

「それなら非常用の薬を出しておこうか?

 

いま安定剤として使っているのは

ALPRAZOLAMという薬でそれよりも

強い薬を少し多めに飲むのが得策だよ。

系統の違う薬だと、増量するのに時間がかかるから、

同じ系統のもののほうが効果あるんだよ。

 

デパスっていう薬は使ったことはある?」

 

 

 

「初めに処方されたのがデパスでした。

そのあとでコンスタンに変更されたのです」

 

 

「デパスが効かなかった?」

 

「ええ、あまり効かなかったので

コンスタンに変えてもらったのですが」

 

 

「それならちょうどいいよ。

非常事態用にデパスで増量を試してみょうか?

それでだめなら、それよりも強いのがあるから大丈夫」

 

 

 

そんな風にして夕方から夜に感じていた

物悲しさと不安を追い払うことができたのです。

 

 

 

何度か同じ症状に見舞われ、

そのたびにデパスで不安を払拭し、

この薬に対する信頼感は絶大なものになりました。

 

 

それは自分の中で大きな収穫で、

これさえあればいざというときに頼りになる。

 

そう思えると同時に心が軽くなったのです。

 

 

デパスをもっているということでお守の役目を話してくれる。

 

 

呑まなくてもポケットの中にあるだけで効いてくれる。

 

 

アメリカでの滞在で最も大きな心境の変化だったのです。

 

 

薬に対する全面的な信頼で

予期不安が激減することがわかったのです。

 

 

病は気から、とか、気の持ちようだ、

と言うけれでも、それが自分の中で起こった

瞬間だったのです。

 

 

関係会社に出向

 

米国から帰国し、

暫くしてから関係会社への出向の話が持ち上がりました。

 

 

 

海外から部品を買い付ける仕事で、

任期は2年間。

 

 

勤務先が遠方だったためアパートを借りての暮らしとなりました。

 

 

アメリカでの経験が自信となり、

住居を変更することも、

通院先を変更することにも戸惑いはありませんでした。

 

 

 

むしろ、仕事内容が変わることへの

不安のほうが大きかったと記憶しています。

 

 

 

普通は、そうですよね。

 

海外からの部品の買い付けのため、

2ヶ月に1回くらいのペースで

海外出張をすることになりました。

 

 

飛行機は相変わらず苦手だったのですが。

 

 

新たな病院を探し、通院しました。

 

 

そこの医師はアメリカみたいに

砕けた先生ではありませんでしたが、

物静かで、穏やかな口調の先生でした。

 

 

 

診療室はおよそ病院という

雰囲気ではなく、ゆったりとした椅子

に木製の机、観葉植物で落ち着いた雰囲気です。

 

 

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看護婦さんは受付にいるだけで、

診察室には先生と患者だけというスタイル。

 

 

 

この穏やかな先生から飛行機に

乗る際の秘訣を伝授されたのです。

 

 

「人間の脳とういうのは顕在意識では

コントロールできないことのほうが多いのです。

 

飛行機が嫌いなのに、無理やり自分

に好きだと思い込ませることは出来ないのです。

 

  だから機内に乗り込む直前、

乗り込んだ後、気分よくないでしょ。

 

そういう状態で薬を呑んでもなかなか

効き目が出てこないのですよ。

 

だから搭乗の1時間前に睡眠剤呑んじゃってください。

 

そのほうが楽だから。

あと、機内では酒はダメ。

 

これだけ守ってくれれば、

平常心でいられること保証しますよ。」

 

 

 

  そう精神科医は言ったのです。

 

搭乗1時間前に睡眠剤を呑む、マジか!

 

これが、別のブログでご紹介した薬の飲み方なのです。

 

ワタシも、かなり紆余曲折がありましたが、

やっとパニック障害との付き合い方を

発見することができたのです。

 

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パニック障害が長引いたわけ:治る病気を不治の病と決めつけていた自分

パニック障害と不安神経症のおかげ:自己中心から人の気持ちがわかるように

 

 

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