いじめが始まっているのに学校教師は頼りにならない
突き飛ばす、引っ叩く、蹴り倒す。
こんな暴力によるいじめと、ノートや教科書にマジックで落書きしたり、上履きや体操着を本人の気付かぬところに隠してしまうような陰湿なイジメ。
どちらも、イジメている側は面白半部の軽い気持ちなのです。
先生にみつかって咎められても、自分だけがやっていたわけじゃないと事態の深刻さを薄めてしまう。
やられた方の気持ちは複雑です。
悔しい、悲しい。
おかあさんに買ってもらった新品のノートに太字の黒いマジックインキでバカ、死ねと書かれ、洗濯したての体操着が掃除用具箱の中に丸めて押しこまれていたわけだから。
最初は冗談だと思って、わざとおどけて見せたけれど、心からは湿ったハンカチを絞るように涙があふれてくる。
こんな事、とても両親には相談できない。
ふざけてじゃれ合っていたわけじゃない、と先生に訴えてもとりあってもらえない。
それなら初めから毅然とした態度で止めてほしい言うべきでしょ、と先生は言う。
今日から、そういう態度で臨みなさい。先生も様子を見て助け舟をだすから、と。
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こんな学校の内情おおやけにできない
インターネットで『教師をやめたい』とインプットして検索してみてください。びっくりするほどの教師の不満にあふれかえっているのを目にすることになります。
教師を辞めたい理由は「劣悪な労働条件」が圧倒的なのです。
ひと月で100時間を超える残業と、そのうえ土曜日は休日出勤で部活動の指導。
日曜日は疲れて何もできず一日中寝ているといいます。
こんな状態の先生らに、クラスでいじめが有るか無いかに目を光らせる余裕なんてないです。
学校は、いますぐ辞めたい教師がうじゃうじゃいるわけです。
平成25年に『いじめ防止対策推進法』が制定されました。
この法律の肝は「いじめが法律で禁止された事」と「いじめがあると報告をうけた場合には教師は迅速に対処しなければならない」と規定している点です。
だから、いじめによる自殺がマスコミに嗅ぎ付けられたら学校にとっては大事件なのです。
学校側がいじめに気付いていたのかどうか、謝罪会見で厳しく問いただされます。
学校側は当然、いじめの事実はなかったと世間に納得してほしいわけです。
誰からもいじめの報告など受けていないとキッパリ言い切りたいのです。
だって、いじめを知っていて事件を未然に防げなかったとなれば『いじめ防止対策推進法』を破ったことになるのです。法律違反となるわけです。
こんな学校の内情をおおやけに公表などできない。
でも、いじめの撲滅を学校に任せることなど絶対に無理なのは明白なのです。
にも関わらず、生徒の自殺があるたびに学校が吊し上げられるわけです。
出来ない事をやらせようとしているのが『いじめ防止対策推進法』なんです。
触法少年は児童相談所が対応
それなら、度を越した陰険な悪ふざけを誰が止めればいいのか。
いままで学校を頼りにしていた親御さんたちは、いじめの構造をしっかりと把握しなければなりません。
少年法と触法少年を理解しなければなりません。
14歳に満たない児童が法を犯したとするじゃないですか。かりに、スーパーマーケットで万引きしたとします。
逮捕されるのか?
警察は逮捕できないのです。人を殺しても逮捕できないのですよ!!
14歳以下の児童には責任能力が無いと法律が決めているのです。
法律を犯したという位置づけではなく、法に触れる行為として触法少年とされるわけです。
これらの子供を前にして、「なぜ人を殺したのだ?」と追及する権利があるのは児童相談所と家庭裁判所の二つです。
警察には、その子供を警察に連行する権利も、身柄を確保する権利もないのが、日本の法律なのです。
簡単に言えば、人を殺しても、14歳以下だったら、反省したらそれで終わりです。
実際、佐世保小6殺人事件では、カッターナイフで同級生の喉を深さ10センチに切り裂いた子供は触法少年として実刑判決なしです。
児童自立支援施設国立きぬ川学院に収容されて、卒業しておしまいです。
今頃、日本のどこかでのうのうと暮らしているというわけですよ。
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少年法(14歳~20歳)
中学校2年生から大学2年生くらいの間(14歳~20歳)であれば、少年法に照らし合わせて対処される。
14歳以上になれば警察が出てきます。裁判は家庭裁判所というぬるい場所ですが。
少年法で守られていますから、加害者の名前も顔も公表されないのがルールです。
被害者の顔と名前が堂々と報道されるのに、加害者の周りには煙幕がはられるのです。
そして、少年法ならではの寛容な裁きとなる。
成人が犯した罪だったら当然極刑が適用されるケースでも、少年法ならせいぜい20年程度です。
将来がある身だという理由から、教育刑として道徳教育が施されて一般社会に放たれるわけです。
神戸連続殺人の犯人の酒鬼薔薇聖斗は国立武蔵野学院に入り、育て直しというケアをじっくりと受けたのです。
男性の精神科医がお父さん役、女性の精神科医がお母さん役をつとめて、温かい家族を再現することで血の通った人間へと治療するというものです。
全く効果がなかったのは周知の事実です。
いまは名前を変えて、のうのうと暮らしています。
東京都足立区綾瀬で起こった女子高生コンクリート殺人事件の犯人は、犯行当時高校生でした。
少年法が適用され、主犯格が20年、それ以外の3人はもっと軽い刑で少年院に送り込まれたのです。
その結果、刑を終えて出所するや、再び犯罪に手を染めています。
少年法を適用して刑罰を軽くした結果、新たな被害者がでているわけです。
日本の法律が新たな事件を引き起こしているといっても過言ではない。
だって、酒鬼薔薇なんて人格障害だから、どんな精神的な処置をほどこしたって治らないと専門医が言っていたわけです。
それを、少年法を適用させて教育刑で本来の人間の心を取り戻させるとか言っているから、ろくなことにならない。
そんな事実が有りながら、法務省は受刑者へのカウンセリングの重視を検討しています。
再犯に走るのを道徳心で食い止めようと言うわけです。
家庭で虐待されているケース
もちろん、家庭環境を見直して、いじめの主犯各の親に指導を強化させる必要はあります。
でも、それができていれば、はじめからいじめなんて起らないですよね。
子供がグレるにはそれなりの理由があって、他人をいじめることで自分が抱えている問題から目を強制的にそらしている。
もしくは、不幸な人間を作り上げることで、自分の不幸を帳消しにしようとしている。
そう考えると、家庭においての被害者が、ここでいういじめっ子という理屈が成り立ち、家庭環境を改善しない限りイジメの根絶に手が届かないわけです。
14歳以下の触法少年をケアする場合、被害者と加害者という概念がものすごく薄いのです。
加害者にも心の傷があるという考えのもと、イジメの両者をケアするわけです。
場合によっては、イジメ側が家庭で虐待にあっているというケースすらみつかり、イジメ側を施設で引き取ることが最終的な解決策だったりもするのです。
対策がそもそも「絵に描いた餅」
『いじめ防止対策推進法』が、そもそも絵に描いた餅なんですよね。
「いじめがあると報告を受けた学校、教師は迅速に対処する」とされているけれど、そこに無理があるわけです。
いじめのケアをも教師の守備範囲とするのなら教師の人数を今の倍近くにまで増やさなければ不可能なのです。
いじめが学校で起きているからといって、学校が責任を持って対処すると安直に考えるからイジメを取り締まる事が出来ない。
ましてや、その原因がいじめっ子の家庭での虐待だとしたら、家庭環境にまで教師がメスを入れなければならないことになる。
そんなの絶対に無理。
正論を言えば、家庭での問題は児童相談所が調査にあたり、しかるべき手を打つ。
学校での直接的ないじめは学校が対処する。
こんなふうに言われるのは容易に想像がつきますね。今の体制の中でそれぞれがきちんと仕事をすれば問題は解決できると。
でも、現実はそんなもんじゃない。自殺をする子供はあとを絶たないし、学校はイジメの実態はなかったとウソをつくし、児童相談所は応援要請がなければ動きようがないという。
法律は14歳以下の子供は裁けないと規定し、14歳から20歳は少年法で厚く守られている。
無駄な道徳教育で人格障害の子供を更生させようとしている。
これじゃあ、イジメなんていつまでたってもなくなるわけがないのですよ。
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