被害者のご遺族には申し訳ない表現ですけど、この前の新潟での殺人事件の報道を観て、“またか!”と感じた人は少なくないはず。
元恋人の殺人事件です。
“大好き・愛している“の感情がなぜ殺意に変わってしまうのか。ここが腑に落ちない。
大好きだったあの娘に振られた。“悲しい、虚しい、何もやる気が起きない”なら分かるんです。普通の人間の心理ですからね。
それが、どうひねくり返したら、殺意へと変貌するのか?
ここでは、元恋人を殺す憎悪について解説してみたいと思います。
元恋人殺し
2019年11月 新潟にて斎藤涼介(25歳)が元恋人の石澤結月さん(22歳)を待ち伏せして刃物で刺し殺した。
2016年 フランスで日本人女子大生の黒崎愛海さん(21歳)が、交際相手のチリ人・ニコラス・ペセダ(28歳)に殺された疑惑(実際には黒崎愛海さんはペセダと会った翌日から行方不明。
2013年 東京都三鷹市の『三鷹ストーカー殺人事件』。トラック運転手が元交際相手の女子高生を殺害。
2007年 千葉県にて市橋達也(28歳)がリンゼイ・アン・ホーカーさん(22歳)を絞殺。
バリエーションを複数集めてみましたが、元恋人を殺害するというカテゴリーが成立します。上記の文面で、『ストーカー』とう言葉が恋人殺しの根底にあるんです。
ストーカー行為とそれを支える人格・性格とは
アイドルや女優さんを執拗に追いかけ回す。待ち伏せして盗撮したり、独り住まいのマンションに忍び込んで私物を持ち帰って自分のコレクションに加えたりするの。
ストーカーの特徴を少し書き加えるとすると、普通のアイドルや女優さんよりも地下アイドルとか舞台中心のあまり有名でない女優さんを狙うんです。
本当の恋人のような妄想を抱くのに、有名人だとのめり込みづらいんです。百万人のアイドルだと自分だけのものにならないと考えるの。
だからあえて地下アイドルに狙いを定める。握手会に並んで高価なプレゼントまで手渡す念の入れようです。まるで自分の恋人にでも渡すかのように心ときめかせて選んだバッグやアクセサリーを。
この行為を続けるうちに、地下アイドルが本物の恋人のような存在となって心を支配するんです。
そしてプレゼントしたハンドバックやアクセサリーを身に付けないのが気に食わなくなってくる。身を粉にして尽くす俺の気持ちをスルーするつもりなのかと。
密着してくる暑苦しさに嫌気がさして別れ、そして殺される
一般人どうしの交際を見ます。
見捨てられるのを極端に恐れる人がいます。生い立ちに原因がある場合もありますが、ここでは生まれつきの人を掘り下げます。
彼は人との関係において、密着した超至近距離の立ち位置でいないと心穏やかでいられないんです。
大好きな恋人には毎月のように高価なプレゼンをし、毎週のように高級なレストランでディナーをご馳走することで自分を納得させているの。
恋人に捨てられるのではないかという不安が常に心にある分、過剰に尽くしてまとわりついていくんです。
そうした言動がだんだんと相手にとっては重たくなってくる。
気持ちの悪い束縛と、一緒にいるだけで息が詰まる閉塞感がで、ついには別れ話を切り出す事になるんです。
別れてなんかやるものか、そんな我がままが通ると思うな
捨てられる恐怖は遅かれ早かれ現実になりますね。
その瞬間に、心は憎悪に支配されるんです。ぽっかりと心に穴があく、とか、悲しみで何も手につかないなんて反応とは全くちがうの。
いきなり、ふざけんじゃねー、って激変する。
あんなに尽くした俺がなぜ振られなきゃならないんだ。
そんな我がままがまかり通ると思っているのか。
これを許したら、本人の為にならない。
第一、日本の将来はどうなってしまう。
ここはたっぷり思い知らせてやるべきなんだ。
元恋人を殺す心理とは、こういう具合に成り立っているんです。
マスコミからの殺人の動機は、“恋人に振られた腹いせに”とか“別れ話のもつれから”とか表現されるでしょ。
確かにその通りではあるけれど、その裏にある犯人の性質が充分に解説されていないから、元恋人殺しがいっこうに減少しないんです。
瞬間湯沸かし器のような性格に苦しむ人達
ストーカー気質の根底には境界性人格障害が横たわっています。この境界性人格障害に特有の瞬間湯沸かし器のような極端な短気の性格が本人を苦しめます。
自分でもわかっていて、それでも避けられない怒りっぽさ。相手をズタズタに傷付ける暴言を吐かずにはおさまらないショートテンパーなんです。
育った環境が作り上げた性格ならまだ打つ手があるかもしれないけれど、生まれつきなの。境界性人格障害というキャラクターを背負った一人の人間なんです。
だから治療がとても難しいし、治すと特効薬があるわけではないんです。
自分かこれに該当するのをしって、精神科を受診する患者さんがいます。一通り話をして、医師としてのアドバイスをして、対処療法的に怒りを緩和する薬を処方する。
この患者さんが少しでも生きるのが楽になってくれればいいですよね。それと同時に、医者は万が一の場合のケースを説明する義務があるんです。
捨てられるのを極度に恐れ相手に密着してしまうこと。
捨てられた瞬間にストーカーの気質が顔をもたげる。
そして、捨てた相手を傷つけたり、殺したりしかねないほどの憎悪に心が占拠されること。
ここをしっかりと押えないと、別れた後の元恋人を殺める不幸な事件は後をたたなんです。
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