ハイヒールのかかとをカンカンカンと鳴らして東京丸の内を歩くリケジョ30歳。会社の新企画プロジェクトチーフを任されただけのことはある切れ者。
某有名私立大学卒のリケジョなのです。
女性ならではの共感力と、ロジカルな判断力をバランスよく兼ね備えているというわけです。
この新企画プロジェクトのチーム、総勢20人のなかに60歳の雇用延長契約の昭和のベテランが2人含まれているから話がまとまりづらい。
元部長クラスの2人だから若いネーちゃんになんぞ任せておけるかと凄んでくるわけです。
さて、若いリケジョの思考回路と昭和、平成と企業を支えてきた雇用延長組の攻防について解説してみたいと思います。
何かとことわざで諭そうとする昭和・平成の鉄人
人間ひとりの力なんてたかがたかが知れている、とオジサン組は連携プレーが大好きだ。仲間と苦楽を共にして初めて勝利がつかめると。
確かに、それは尊ばれる考え方だし、気持ちがいい。
そしてすぐに『三本の矢』の話を持ち出す。
1本の矢は弱いけれど、3本の矢は折れない。3人の結束が固ければ、幾多の難題でも乗り切れられると。
だがリケジョは『三本の矢』が大嫌いだ。
3本だろうが5本だろうが折れるときは折れる。強度の問題なのだから。
さらに、こんな例もある。1+1は必ずしも2ではない。時には3にもなるし、5にもなる、と。
ひとりひとりが力を合わせれば、単純な足し算以上の力を発揮きでると。
だがリケジョにとって1+1=2であって、どう逆立ちしたって2以外にはなりえない。
では人のちからを積み重ねた場合はどうなんだ、と詰め寄られてもたじろぐ事など絶対にありえない。
「ひとりひとりが力を合わせた場合は、効率が良くなったり、安心感で緊張がとけてミスが減るかもしれないわね。でも1+1=2で、それ以外はあり得ない。
リケジョは根性論が大嫌い
昭和、平成派の中には、働き方改革が過去の我が身を否定されているように感じる人もいます。
毎晩遅くまで残業してきたおかげで、今の日本があるという自負がある。
リケジョにだって、その気持ちがわからないでもない。でも、単純に比較したら昭和や平成初期よりも、今のほうが格段に仕事は効率化されている。
単純作業はパソコンがこなしす。そのためのありとあらゆるアプリケーションが販売されている。
“ハッキリ言わせてもらうと、あんたたちがド残業していた時の倍異常の業務をアタシたちはこなしているのよ”と。
そんな時、ピント外れなそろばんと電卓の差を連想している昭和のサラリーマンがいて、虫唾がはしるのだ。
使えるものはバンバン使って仕事を先に進めつつ、並行してシミュレーションをかけていく時代なんだ。クライアントの考えていることを想定して、いかにそれに近づけながら、柔軟な発想を発揮しなければ勝ち進めない社会なんだ。
そのためにはスタッフはメンタルにもフィジカルにも十分な休養を与えなければいい仕事などできないと考える。
すなわち、残業などヘドがでるほど嫌いなんです。
根性で何とかなるものは全てコンピューターが対処している。勝負は新鮮な発想力なんだ、と。
つまり時間の使い方が昔と今とでは全然ちがっているとリケジョは考えるのです。
人間心理の理解度も昔と今では段違い
たまにはみんなで酒でも飲んで話をしようじゃないか、と昭和はノミニケーションを提案する。かれらは仕事帰りの赤提灯が大好きなのです。
プロジェクトチーフとしても、それも一つの気晴らしかと、昭和の提案にのることにした。
だが昭和の酒の飲み方は義理と人情を重んじるのです。俺が注いだ酒が飲めないのかと、と無理やり日本酒に巻き込む分けです。そしてオジサン特有の、武勇でもどきの手柄話が延々と続く。
それを、興味深く聞かなければならない。
「取引先の女部長を口説きおとすのには本当に苦労したんだ。フランス料理とワインが好きで、なんど接待したかわからない。そのたびに、難問をきりだしてきてな」と昔の苦労話が炸裂する。
「どんな難問だったのですか?」
「女性部長として男性の部下をどう使っていくかに相当手を焼いていてな。鼻っ柱の強い男性社員と意見の食い違いがどうのこうのっ、かなりの難題を持ち掛けられたもんだよ」と昭和・
「それって、問題を持ち明けてきているんじゃないし、解決方法を知りたがっているわけじゃないですよ。共感してほしいだけで、話を聞いてもらえばそれでいいんです」と若手社員。
「うむ、、、、」
「つまり女性の脳は男とちがってて、共感を必要とするんですよ。問題を提示してきながら、じつは回答を求めているわけじゃなくて話を聞いてもらいたいという気持ちなんです。だから答えなんか出してしまったら、逆にストレスがたまるのが女なんです」
昭和組は憮然とする。
ここでプロジェクトチーフのリケジョが割って入る。
「あんたさあ、このオジサンたちが男女の思考の違いについて理解すると思う。男尊女卑の典型みたいな人たちよ。女は黙って男の後を3歩さがって歩けばいい、と思っているの。30歳手前の理系の女の下で働くなんて、やってられないと思っているわけよ。」
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