心がからっぽ
「心がからっぽ!これから先、何を心の支えにいきてゆけばいい?」なんて深刻に考えちゃうと事態が硬直しちゃいますよ。
心のよりどころ、生きるうえでの心の支えを見つけるのなんて、案外身近にあったりするものです。
大上段に構えすぎたらダメ。
「生きがいを失った!」と、そこで時間を分断しちゃいけませんよ。
やる気スイッチの押し方をお教えします。
定年退職で生きがいを失った
勤め先を定年退職した男性で、それまで仕事が生きがいだった人って少なくないですよね。
家庭や育児は奥さんに任せて、外で大立ち回りを演じるのが大好きだった。
彼らは仕事にプライドを持ち、あらん限りのエネルギーを仕事につぎ込んできた戦士です。
仕事が趣味、根っからの仕事人間。
定年退職というルールに従って会社を去るとき、酷ではありますが、それまでの生きがいも手放さなければならないのです。
心がからっぽになってしまう。
「あれだけ会社に尽くしてきたのに、定年退職を迎えて何が残ったの?お疲れ様の花束だけじゃない!」なんていうふうに意地悪を言うのはやめましょうよ。
あれが、かれらの生き様だったのですからね。
かれらにはたくさんの掛け替えの無いない思い出が心に焼き付けられているのです。
決して、家庭で育児や家事をこなしてきた奥さんよりも偉いなんて言っているのではないのです。
奥さんにも、家事・育児にまつわる大切な思い出が残されているように、ご主人にも30年間にわたる熱い思い出がのこされているのです。
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でも皮肉なことに、ご主人にとってその大切な宝物が逆に生きていくうえで障害になりかかっているのです。
現役で働いていたときと今を同じ目線で比較して、仕事は楽しかったと心がからっぽになって落ち込みかかっていいるのです。
現役中の試練が大きければ大きいほど、それを乗り越えたとき何物にも変えがたい達成感を味わった。仲間と夜遅くまで働き、勝ち得た成功。
でも今の自分には何も無い。からっぽの抜け殻じゃないか、と。
定年退職した老人に頼ってくる人など誰ひとりとしていない。
そんな風に視野狭窄に陥りかかっているんです。
こんなご主人を目の当たりにして、奥さんは何を感じますか?
家庭を顧みず、自分の好きな仕事だけに時間を費やしたバチがあたったのだと笑いますか?
ついに定年退職の時がきたわね、がざまあみろ、と思いますか?
これで、あなたもひとりぼっちの老人生活ね、と言ってやりますか?
そうじゃありませんよね。
ご主人の大切な思い出に付き合ってあげてください。
若かりし頃の仕事ぶりを思い出す相手になってあげてくださいよ。
それが女房というものでしよう。
奥さんだって、ご主人が仕事をして稼いだおかげで不自由なく暮らしていられるのですから。
若き力を存分に仕事に注いだ結果の成功だったのですから、たまにはそんな武勇伝に付きたってあげてください。
「昔は良かった」じゃなく、30年間のサラリーマン生活は大成功だったのだと言ってあげてください。
家族から感謝の気持ちとして、ご主人を表彰台に登らせてあげてください。
良かったときの思い出に浸りたいとき、付き合ってあげてください。
その上で次に、今の年齢や体力に合ったやりがいを見つける手伝いをしていってあげてください。
それまで、会社一筋だった人にとっては、何をやるのも初心者なのです。
定年退職したからもうお払い箱だなんていう思いを抱かせてはいけないのです。
勝利のメダルを掲げながら次の目標をじっくりと時間をかけてさがせばよいと力付けてあげてくさい。
焦る必要なんて全くないのですから。
定年退職までの武勇伝を家族が認めてあげることで、焦りがなくなるのです。
既に人生の成功体験をしているのだから、と励ましてあげようじゃないですか。
人生を楽しみながら、次の目標をさがしましようと。
やる気スイッチを奥さんが押してあげてください。
わが子が独立したとき
就職先が決まり、わが子が独立することになったのです。
実家を離れ一人暮らしてをすることに。
そして、まるで心にぽっかりと穴があいたような虚しさを感じるようになってしまった。
子供とご主人との三人暮らしだった20数年間には一度も味わったことのない空虚な毎日なのです。
何をしても気持ちに張りがないのです。心がからっぽで、生きがいを失ってしまったのです。
ご主人と結婚し娘が生まれました。
その日を境に生活が一変、全てが娘中心の生活の始まりです。
それ以来、娘の成長が何よりの喜びとなったのです。
大学に入学してからは、ほぼ同じ背格好の母と娘が、まるで姉妹のようにショッピングに出かけ、服やバッグを貸し借りして楽しんでいたのです。
四年間の大学生活を終え、就職先に選んだのが大阪に本社を構えるアパレルメーカーだったのです。
娘さんは東京支店の勤務を希望したものの、大阪本社に配属されることになったのでした。
娘は独立して転居することになりました。
その日をさかいに、母親はふさぎ込むようになった。
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お母様にとっては、娘さんが生きがいだったのですから無理もないのです。
娘の成長と、その後の娘と過ごす楽しい時間。
娘と行動を共にすることがどれだけ母親にとって大きな喜びだったのかがわかります。
こんな時、どうしたら母親の元気を取り戻すことができるでしょうか?
もちろん、娘さんの勤務先が東京にかわり、今までどうよう実家で暮らせるようになれば問題はないのですが、現実はそうもいきません。
大阪での仕事が数年で終わり、それで東京に戻ってくるとも限らないのが勤め人の世界です。
大阪の次は、福岡であったり仙台であったりしてしまう可能性だってあるのですから。
この例は、子離れできない母親の典型です。
もともとの原因はいろいろとあるのです。
しかし、ここではそれを分析するのが主旨ではないので、いったん省かせ頂きます。
(とても大切な事ですから、別の時間に解説をさせて頂きます)
お母様は今、娘さんがあたかも別の誰かに取られてしまったような気持になっています。
ひとりぼっちになってしまったようなからっぽな心境なのです。
まず、その部分をはっきりと訂正してあげなえればなりません。
「娘さんは、いまでも間違いなくお母様の娘であり、変わったのはお母様と娘さんが共に過ごせる時間が減った事だけですよ。
だって、お母様の大切な娘さんは今、社会人として独立し、立派に世の中にでて働いているのだから」と。
それ以外は、何ら変わった事などないのです。
ただ単に、娘さんと過ごす時間が減っただけ。無くなってしまったわけではないのです、と。
これを、お母様にきちんと理解してもらえれば、胸のつかえがスッと落ちてすっきりするのです。
だって、いくら大阪で暮らしているとはいえ、一年に一度や二度は実家にもどってくるでしょ。
確かに学生時代に比べれば、お母様が娘さんとともに過ごす時間は激減しました。
でも二人の関係は依然として、親子であることに変わりはないのですから。
お母様の気持ちが整理できてくれば、今まで娘さんと過ごしていた時間を何に使うかを考える余裕が出てきます。
娘さんの負担にならない範囲で、メールのやり取りをしたって構わないのです。
気持ちの整理ができたという事は、子離れが出来かかっている状態ですから、メールのやり取りの楽しみを感じるのもいいものなのです。
(気持ちの整理ができる前はダメです。娘さんにとって重すぎるメールが飛ぶのが目に見えていますから)
大切なのは、心の整理・頭の切り替えができた事で、新しい一歩を踏み出す事なのです。
それまで娘さんとばかり出かけていたので、町内会の集まりになど参加していなかったのではないですか?
やる気スイッチは幾らでもあるのです。
カルチャーセンターで同年代の方々が、いろいろと面白そうな習い事をしているのもご存知なかったのではないですか?
それ以外にも、ご近所の方々の輪に加わることで、楽しみが絶対に見つかるのです。
お正月やお盆に、我が子が帰っていたら、その時は思う存分母と娘の会話を楽しめばいいじゃないですか。
一緒にデパートに出かけて買い物を楽しめばいいのです。
娘さんも、お母様がご近所の方々とカルチャーセンターに通い出したと知ったらきっと大喜びするに違いありません。
娘無しでも楽しく毎日暮らせていることを知らせてあげてください。
生きがいなど失っていない
それまで生きてきて、一番の生きがいから離れたとき、人は心のよりどころを失ったと勘違いするのです。
心がからっぽなどになっていないのです。
始めに書かせて戴いた、定年退職をされた男性の場合、仕事から手を引いたことには違いありません。
それは定年という会社のルールに基づくものですから仕方ありません。
でも、若さに任せて仕事で無茶をした事を忘れてはいないのです。
強烈な思い出として、いまでも昨日のことのように覚えていらっしゃいますよね。
同じ事は悲しいかな、年齢的にはもう無理なのです。
でも、あのとき、仕事から逃げずに戦って勝ち取って物は今でも忘れずに生きているでしょ。
色褪せない思い出として息づいているでしょ。
それが、勝利の体験なのですよ。
そして、娘さんが独立されて、悲しい思いをされたお母さん。
あなたの愛情があったからこそ、見ず知らずの大阪で、娘さんは頑張れるのです。
東京の実家からの応援の声が聞こえるから頑張れるのです。
お母様が悲しい思いをされるのは理解できます。
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でも、悲しみ過ぎないでください。
娘さんと過ごす時間が減ったのは、娘さんが一人前の社会人として独立できているからなのです。
さらに言えば、娘さんと過ごす時間が無くなったわけじゃないのです。
ただ、減っただけです。
会おうと思えば、その日のうちに会いに行くことだってできるじゃないですか。
大袈裟に考えすぎちゃっているだけなんですよ。
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