”あるべき姿“ってなんかムカつく響きなんです。
「偉そうにぬかしてんじゃねーよ。なにがあるべき姿だ!虫唾が走るぜ。オマエのオツムで考えられるのは単なる理想像だろう!」って。
課題設定の為に“あるべき姿”と”現状“との差異を明確にする、というのは学業でもビジネスでも鉄則、鉄板。
確かに“あるべき姿”を明確に思い描くのは大切なように思える。
でもオレは、その言い回しが嫌いだし、そんなに安直に描けるものじゃないんです。
ここでは“あるべき姿”の難しさについて迫ってみます。
あるべき姿は本当に正しいのか
仕事の性質にもよるけど、オレなんかが働く環境のあるべき論は”押し付けがましさ“を感じるんです。
数値で許容範囲が決められいる製造業だったら、耐荷重100kg±5%が正解とか、だれにとっても明白です。
150℃以上の熱で10分以上熱処理すれば、毒素は消えるとかね。
肉の両面を3分ずつフライパンで焼いて、中はまだうっすら赤みがかっているのが一番美味しいとかさ。
こういうのなら納得できるんです。
でも、オレみたいな営業職のサラリーマンのあるべき姿なんて設定できるの?って思っちゃうわけです。
物を売って代金を回収するのが仕事で、どんなスタイル、キャラで仕事するかなんて人それぞれじゃない。
やたら細かくスケジュールを立てる人もいれば、大雑把にしか計画を立てない人もいる。
どっちがいいかなんて、その時々のアウトプットで判断するしかないのに、無理に統計をとって、細かくスケジュールを立てる方に優位性があるって判断するの。
こういう時に、スケジュールをラフに立てるのを上の人間は嫌うね。
上層部は管理するのが自分の仕事だと思っているから、管理項目をできるだけ多く持とうとする。
上司に媚びる小生意気なマイペース野郎
細かい計画や達成目標を作り上げて、それにそって日々行動するのが好きな人っているでしょ。
たぶん、安心感があるんでしょうね。
“はい、今日も目標達成。よしよし、この調子だ!“っていうのが体に染みついているの。
こういう社員は上司に好かれるんです。
今年の目標とか、今月の目標とか、今週のスケジュールとかが細かい字で手帳にびっしり書いてあって、それを見ながら悦に入る。
誰に見せても恥ずかしくない立派な計画なんです。
もちろん、上司にも堂々と手帳を見せて指導を仰いだりするの。
この小生意気なマイペース具合が超ムカつくんですよ。
僕はいつでも正しいのだ、というお手本君
下手をすると、この細かいスケジュールが“あるべき姿”になっちゃう事があるんです。
計画の立て方は人それぞれでいい、って言ってくれる上司なら助かるけど、小生意気なマイペース野郎がお手本になってしまうと大変。
“僕はいつでも正しい”って奴が理想の姿とされたら悲劇が訪れるんです。
がんじがらめのスケジュールを立てさせられて、一人5つ以上の課題を提示すること、とか上司が言い出すのです。
上司は理想像を自分で考えずに、そこにいる“お手本君”を前面に立ててしまう方が楽なんです。
「みんな、彼を見習ってね。わからないことがあったら直接彼に聞いて構わないから」
こんなふうにいつの間にか上司の片腕となるわけです。
調子に乗りまくるお手本君
お手本君は上司から認められ、ウキウキになるんです。
ますます自己肯定感が強まって、課題設定メッシュは細かくなっていく。
厳しすぎるとモチベーションが下がるってことが分かっていないから調子に乗りまくるんです。
『教育マニュアル』なんてものを作り始めるの。
第一章は“目標設定の心得“とか、言いたい放題。
あるべき姿なんて、時代とともに変わるでしょ。
昔は、技は盗むものだった。
それが教育を施すのが上司の役目みたいになってきたの。
若手社員は貪欲さを失って、“それ、まだ教わってません”なんて平気で口にするようになる。
教わった事しかできないようなロボットマンが出来上がっちゃく。
あるべき姿を端折って、いきなり課題
“あるべき姿”と”今の姿“のギャップが課題となりますね。
だから、あるべき姿が正しくないと、課題も正しく設定できないんです。
あるべき姿をとんでもなく高く置けば、幾らでも課題はでてくるの。
たいていの上司は“あるべき姿”がわからないんです。
時間をかけて考え抜いていないから、或るところまで考えては、そこで思考をストップする。
それだけ難しいんです。
あるべき姿の究極は幾つか代表的な像に結実するかもしれない。
でも、実際には人それぞれなの。
あるべき姿は一つでいいんじゃないの?って思うでしょ。
でも、実態とかけ離れた高尚な姿を掲げても意味はないんです。
各自の実情に合わせて、あるべき姿を描かなければ意味はないの。
だから、いきなり課題設定を押し付けてくるんです。
「自分で課題を設定して、それに1年間取り組んでください」なんて当たり前のように言い出す。
それでいて、課題に具体性がないとか、安易すぎるとか、ごちゃごちゃ言ってくる。
【広告】
関連記事
【広告】