“一石二鳥”が口癖の人。
実は、オレの職場にいるんです。同期入社の男です。
“最小限の資源投入で、最大限の成果を上げる”も大好きで、よく口に出している。
効率的に生きているのをモットーにしているわけです。
洗練されててスマートで、やり手だと本人は思い込んでいるの。
どうにも好きになれない。
ここでは、“小さなインプットで大きな成果を“を唱え、やたらしゃべり続ける生き方の是非について考えてみたいと思います。
一石二鳥、狙いをどこに定めるかが肝心
一石二鳥も悪くはないけど、どこを狙って石を投げたかが問題なんですね。
ボーリングのスプリットのピンを倒すみたいに、投げるボールに回転をかけて、最初に当たったピンが真横に弾け飛んでもう一方のピンに命中する。
これなら誰も文句は言わない“一石二鳥”なんです。
初めから両方に狙いを定めているのですからね。
でも、“おまけ”みたいにくっ付いてきたものを、これ見よがしに”一石二鳥“っていわれてもね。
テレビショッピングの、あの「ちょっと待った!」ってやつみたいの。
“今なら送料込みで50%offの¥2,980.-“って言っておいて、間髪入れずに”ちょっと待った!なななんと、今から30分以内にお電話で注文いただければ、もう1枚お付けします!“
こんな安っぽいおまけ作戦で一石二鳥って自慢されても、そりゃあんたの実力じゃないよ、ってことになるの。
彼の場合は、この安っぽさが浮かび上がっているんです。
凄い人だと思われたいんだなあ、って思っちゃう
彼の言動を見ていると“凄い人、キレる人”って思われたいんだなって痛切に感じるんです。
一生懸命で、それを認められたいけど、誰からも反響がないから自分で触れ回っている感じ。
学生の頃だったら“テストの点数”が自尊心を満足させていました。ところが、社会に出ると評価はテストやレポートの点数みたいに努力と直結していないでしょ。
だから、満たされない思いを押さえ込むかのように、自己満足の言動を繰り返して、じたばたしているように思えるわけなんです。
彼のイメージを膨らませて頂くために、風貌を少しご紹介しますね。
背は180センチくらいの長身で、入社した頃はデブ。でも、ダイエットに成功し今はやせ型(平均よりも痩せている)。
顔は、今は亡くなってしまった映画監督の大島渚さんみたいな感じ。
銀ブチ眼鏡を掛けていて、神経質で陰険そうな雰囲気。
やや高めの声で、立て板に水みたいにスラスラ喋る。軽いトーン。
合間、合間でハハハッと笑う、面白くもない話なのに笑うの。でも目は笑っていないの。
新入社員の頃は厳しい先輩に叱られてメソメソ泣いていた。
想像はつくと思うけど、同期入社の女の子らからはキモいと嫌われていた。陰で、“泣くなXXX”と揶揄されたなあ。
こんな彼がどうにも鼻につく。
彼のどこが鼻につくのか
一石二鳥という言い回しもウザい。
でもそれ以上に、男のくせにべらべらとしゃべり続けるのがムカつくのか。
それとも、面白くもない話の合間に、ハハハッと軽い笑い声をはさむのが鼻につくのかもしれない。ストーリーにオチがなくて、途中で大昔に流行ったアニメソングなんかを混ぜるんです。
で、「なんで俺こんな歌知ってるんだ?」と、とぼけた仕草をするの。その歌も、彼がその懐メロアニソンを知っているのもオレには全然関係ないし、面白くもないし、時間の無駄だし、目障りで仕方ないんです。
そう、俺にとって奴はただ単に、面倒臭い、だけの存在なんです。
“かまってちゃん”なんです。
奴の力量のない漫談もどきを最初から最後まで真剣に見聞きしても“クスッ”ともしない。
ド滑りしまくりでえ、詰まらなくて、退屈なんです。
たとえるなら、和製デーブ・スペクターみたいな雰囲気ね。
冗談を混ぜるけど全然面白くない。痛々しいほどつまらない。反応するのもダルい。
けど、こっちに目を向けられれば愛想笑いをしないわけにはいかないの。
こっちも、引きつったような苦笑いしか出てこないし、それすらも面倒臭いんです。
疲れるんです。
できるのなら、こっちを見ないでほしいんです。
男で、こういう人ってあんまりいないでしょ。
ウケないのにしゃべろうとするのはなぜ
本人だってスベりまくっているのは知っているはず。それでも喋り続けるのはなぜなのかがとても不思議なんです。
宴会の席で(忘年会か新年会か、ただの飲み会か)、彼の部の部長が小声で“アイツ黙らせろ”って言ったらしい。
それくらい、ベラベラとしゃべりまくるの。
上記の通り、面白くも何ともない無駄話を。
喋らずにはいられない人っているでしょ。
一切の沈黙を避けるかのごとくずっと喋り続ける。
明石家さんまさんとか、柳沢慎吾さんみたいなタイプです。
真相はわかりませんが、テレビカメラがOFFのときもずっと喋っているっていいますね。一緒に旅行でも行くこうものなら、夜眠らせてくれないくらい口が止まらない、と。
かれらはプロだから面白いし、テレビで観ている分にはいいけど、隣でやられたらかなわないでしょ。
沈黙が耐えられない。
何人もの人が居合わせながら、静まり返った雰囲気が、居ても立っても居られなくて自分から率先してしゃべり続ける。
オレみたいに、沈黙の間があっても全然平気で、むしろ時々はだれもが口を閉じている空間があった方が落ち着く人間にとっては、彼にはある種の脅迫神経症的なものを感じるんです。
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