悲痛、子供に無関心な親|いとおしかった息子をなぜ愛せなくなった?

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子供に無関心な親

 

「自分の子供に無関心になってしまった。今までの自分と別人のように感じるのです」

僕の会社の部下が、雑談をしているときにぼそりと言ったのです。

40歳少し前の女性の部下です(A子さん)。

キャリアウーマンではなく、事務処理のリーダー格。

細かいところに目が行き届く頼りになる人です。

御亭主と共稼ぎで、中学生になる息子さんが一人います。

 

その息子さんに関心が持てなくなってきている、と自分の感情に異変があるように思っているのです。

具体的に聞いてみると;

    学校行事で何がいつあるのか興味がもてない
    学校の成績が気にならない
    テレビゲームを夜遅くまでやっていても注意する気になれない
    お弁当のおかずが毎日同じ冷凍食品と市販のふりかけ
    帰宅時間が遅くても心配にすらならない

 

自分から息子に無関心と言っておきながら、こんな状態で、あとで後悔するのではないかと矛盾した心配があるというのです。

 

以前はどうだったの?

と質問すると、いま列挙した事全てに最新の注意を払っていたとのこと。

「息子さんが成長した分、こまごました事を心配する必要がなくなったんじゃない?」と言ったのですが、それすらも彼女の耳には届かないようだったのです。

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A子さん取り巻く環境

 

経理伝票や営業アシスタントが主な仕事で、若い女性の教育も担当してくれているから、これほど助かる人材はいないと僕自身は思っているのです。

 

この思い込みが無責任すぎたのです。僕の落ち度です。

A子さんが無理なく、若い女性らの要望を処理してくれていたと軽く考えていたのです。

実際には全く違っていました。

男性社員が普段気にも留めない細かな役割が女性社員にはあるのです。

これは僕が勤める会社だけに限らないですね。

 

  • 文房具類の手配
  • 冠婚葬祭のときの手続き
  • 取引先の住所変更とデータベース管理
  • 社内組織が変更された時の社外への通知
  • 来客が有った場合のお茶だし

 

事細かくいろいろと決まりがあって、さらに担当者が休みの場合には、だれがそれを兼務するかも事前に決めておかなければならないわけです。

 

責任感の強いA子さんは、細かい仕事だからこそ営業の男性陣が困らないようにスムースに対処しなければならないと考えるタイプです。

この考えに協力的だった女性二人が昨年、寿退職し、今一緒仕事をしている4人はもっと合理的な考えです。

営業に直結しない仕事は、手が空いている人が対応すればいい、という主張。

いちいち、担当者を決めるほど重要な仕事ではない、と考えているわけです。

A子さんは若手女子社員らと話し合いの場を持ちましたがA子さんの考えに賛同する者は一人としていません。

ここで1対4に分かれたわけです。

「従来通り、庶務業務にも担当者を付けて、責任もって対応する」と言い切るべきか、今の若い女性社員流に任せるべきか悩んだ末、しばらく彼女らのやり方で様子をみることにしたのです。

 責任転化で矢面に立つ

 

2ヶ月も経過すると、庶務での不具合が散見されるようになりました。

その時に矢面に立つのがA子さんだったのです。

女子社員を取りまとめるリーダーですから、責任を取る形で男性社員からのクレームを受けるわけです。

多い時には一度に幾つものクレームで頭がいっぱいになります。

そのたびに手の空いていそうな子を探しますが、見当たらないわけです。

見当たらないというよりも、忙しいふりをしているのをA子さん知っています。

貿易会社に就職して、海外顧客とのeメールのやり取りに没頭したいのです。

少しでも海外の顧客からの評判を高めてアシスタントから昇格したいのです。

それは分からないでもない。

キャリアウーマンを目指すのなら英語や交渉力に磨きを掛けなければならない。

別に仕事をせずにさぼっているわけではない。

でも、チームとしての役割分担を円滑にしなければ、組織が機能しなくなってしまう。

A子さんは、ここで大きな判断ミスをしました。

彼女らの庶務を自分が代わりにやってあげれば全て丸く収まる、と。

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悲痛、立場が逆転で心に蓋

 

A子さんが庶務全般を引き受ける役割分担が定着するのに時間はかかりませんでした。

だって、他の子がやるよりもA子さんが対応したほうがミスは無いからです。

そして、庶務のプロと、貿易実務間の上下関係が少しずつ強まっていったのです。

A子さんの営業アシスタントとしての貿易実務の仕事は激減しました。

徐々に雑用オバサン化してきたわけです。

私だって好きで、こんな雑用ばかりに時間を割いているわけじゃない、と思いつつ。

でも、こういう風にしたのはほかならぬA子さんなのです。

 

とても、いまさら雑務を女性みんなで再配分したいとは言えません。

ここからA子さんは自分で自分に嘘をつくようになっていったのです。

 

いとおしかった息子をなぜ愛せない

 

A子さんの心は真っ二つに分かれました。

ある時は「私はもともと雑務でみんなをサポートするのが好き人間なの。」と自分を騙し、
ある時は「私が本当の実力をだしたらあんな若い小娘らには負けない」、虚勢をはったのです。

 

どちらも本当のA子さんではありません。

心に蓋をした結果の言葉なのです。

 

この思いが入れ替わり立ち代わり彼女の頭の中でぐるぐると回るようになっていきました。

恨みがましさが自己増殖的に膨らんでくるのです。

どうやったら腹の虫がおさまるのか、自分でも分からない状態です。

 

若い女性陣らと話をするときには、余裕を持った笑みを絶やさないようにするのが、自分の名誉を守るせめてものポーズとなってきました。

余裕をみせなければ自分の負けなのだ、と思い込むようになっていきます。

こんな些細な事で自分がこれまで築いてきた信頼は崩れない。

男性社員は全員、自分をたよりにしてくれているにちがいない、と自ら思い込もうとしました。

 

しかし、だんだんと貿易実務に慣れていった若手女性社員たちが、営業マンをサポートする姿が様になっていきます。

A子さんの仕事が雑務中心となり、宴会の幹事や、接待場所の手配までがどんどん言い渡されるようになっていきました。

仕事へのモチベーションを保つ為に自分に嘘をつく毎日になっていったのです。

虚勢を張るために、社内では笑顔を振りまきます。

だんだんと自分が何を考えているのかが分からないときが出始めてきました。気持ちが落ち着かずに、どっしりと構えられない状態です。

何をすべきなのかが分からないのです。

それは会社に居る時だけでなく、自宅に帰ってきてまでもA子さんの心を乱すようになってきたのです。

あれだけ愛していた一人息子への愛が薄れていく恐怖にさらされたのです。

腹の底から湧いてくる真の気持ちに蓋をして、自分の心をコントロールしようとした結果、本当の自分を失ってしまったのです。

息子さんに無関心になってしまったのです。

 まとめ

 

大人でも子供でも嘘をつかなければならない時は有ります。

そうやって歳を重ねるのが人間の生き方なのです。

それでも、注意すべきは、自分の意志をコントロールしてはいけないという事なのです。

嘘と分かる嘘が有ります。

冗談とか、笑い話にでてきますね。

でも、自分の本心と向き合いたくない時に、本心に蓋をかぶせてはいけないのです。

どうしても今日だけは考えたくない、というならば対処の方法はあります。

酒を飲んでしまったもいいし、別の余暇に興じてもいいのです。

ただ、自分の考えを捻じ曲げて、自分を無理にコントロールするのだけはダメなのです。

本当の自分が分からなくなり、楽しさを味わうことも、愛おしいと思う感情すらも無くしてしまうのです。

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