商社に学ぶ代金回収の方法と節税対策|銀行を利用して契約書で縛れ!

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商社に学ぶ代金回収の方法と節税対策

こんにちは戸田裕二です。
今日は珍しく本職(商社勤め)の極意を解説させて頂きますね。
 

 

商社には三つの厳しいオキテがあります。

「商品が売れる、売れない」なんかではないのです。

ビジネスなんてしょせん水物ですから、ダメない時はどんなに頑張ったってまとまりません。

そのあたりの商社の感覚はバクチ打ちと変わらないのです。

三つのオキテとは;

      代金の回収(踏み倒されたり、取りっぱぐれは商社の恥。不良債権化や焦げ付く前に全額とりたてろ!)

      徹底した節税対策(納税は国民の義務だが、税金の過払いは商社失格。一桁まで計算して過不足なく納税しろ。源泉徴収で海外で納税したら、日本には納税などしない。二重課税防止法で対抗)

      カモられるな(金を巻き上げられるくらいなら、捨ててしまえ。まがい品や不良品をつかまされたときは、売りつけた本人を連れてきて泥を吐かせて、裏にいる組織を叩き潰せ)

こんなところです。

 


商社は、サービス業ですから物を仕入れて、お客様に売って利ざやを稼ぐわけです。

売った商品の代金を回収するプロというわけなのです。

さて、上記①、②、③をさっそくご説明しましょう。

 

海外企業からの代金回収・ヤバイ会社にだまされるな

 

性善説でいると騙される

 

海外の取引先との商談で、やっと注文までこぎつけたものの、販売した製品の代金回収ができなければビジネスとは言えませんね。

債権の回収は受注と同じ比率で大切なのです。

逆に言えば、金が取れない相手には品物は売りません。

契約書を取り交わして、支払いの時期も合意していますから約束のタイミングできちんと代金回収できるはず、と日本人は性善説を唱えます。

絶対にダメですよ、ビジネスに性善説などをもちこんでは!

外国の企業で性善説を前提にしている会社なんてありませんから。

ビジネスの商談中に性善説なんかを口走ろうものから、その場でカモにされるだけなんです。

こいつはやり手だと相手に思わせて、互いに腹を探り合いながらビジネスはまとまっていくのです。

だから契約書を作成する中で、わざともめだすのも一つの作戦なのです。

タフな相手だと最初から思い込ませて、相手からの強気な条件を少しでも軽減するわけです。

外国の会社と契約を締結する際に、決済条件として代金回収の時期や、額(分割の場合)を取引相手と合意し、契約書に記載することになります。

債権回収を確実にするための決済条件をご紹介します。

 

ワタシが普段、外国の会社と契約を締結する際に使っている支払い条件です。

代金回収力の強い決済条件から並べてみました。

     全額前払い入金 / 100% Advanced payment

    スタンドバイL/C / Stand by L/C

    銀行保証 / Bank guarantee

    コンファーム付の信用状一覧払い / Letter of Credit at sight with confirm

    製品出荷後の代金送金 / T.T. remittance after shipment

 

 

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全額前払い入金 / 100% Advanced payment

 

文字通り、製品を引き渡し前に代金を払ってもらう条件ですから、何よりも安全な代金回収です。

契約金額が大きい場合、全額を前金で払ってもらうことは難しいのが正直なところです。

ただし、少額(数十万円程度まで)であれば、前金で先に代金をもらうのが会社の規則だと言い切って強引に代金回収するわけです。

少額の取引であると、案外、支払を忘れられたりして不良債権化します。

それを防ぐために、初めて取引をする相手であれば、会社の規則として、全額前金でなければ取引が許されていないと突っぱねてしまえばいいのです。

契約締結後、2週間以内に振り込ませるというやり方をよく使います。

売り手側が有利な立場に立っていれば(購入ルートが他にない、とか、こっちは別に買ってもらわなくて痛くも痒くもない))、堂々と前払いを主張して、それ以外では売れないと強気に出てしまいましょう。

どうせ、少額の取引ですから代金回収の手間を考えたら、売っても大きな利益にはならないでしょう。

絶対に必要な製品なら前金をも払ってくるでしょうし、数十万円の前金すら払えない財務状態の会社なら債権が焦げつくだけす。

性善説でなく、性悪説で強気に出ましょう。

その代りに、製品を出荷するまでの準備状況などを、頻繁に連絡することで信用を保つようにします。

 

スタンドバイL/C / Stand by L/C

 

スタンドバイL/C は信用状の一種ではありますが、通常の信用状とは違う決済条件です。

継続的に取引をする場合に使う銀行保証の一種です。

契約を締結するごとに開設L/Cではなく、あらかじめ限度額と時期をとりきめ、その期間ないであれば銀行が設定額100%まで保証します。

つまり、買い手が支払い遅延を起こしたり、支払不能に陥った場合に、このスタンドバイL/Cを銀行に提示すれば、銀行は即、代金を払ってきます。

即効性のある代金回収方法です。

スタンドバイL/Cを開設しておけば、分割払いや、後払いの決済条件で合意しておいて、もし支払が遅れれば、即スタンドバイL/Cを使うという方法をとることができるわけです。

 

銀行保証 / Bank guarantee

 

一般的な表現で銀行保証と記載しました。

代金の送受信だけが銀行の使い方ではないのです。

銀行保証と一言でいっても方法はいろいろあります。
(上記のスタンドバイL/Cもその一種ですね。)

約束した期限までに代金を払ってこないのをスタンドバイL/Cで対応すると仮定して、それ以外にも債権が焦げつくリスクはさまざまです。

①   買い手が倒産した

②   自己破産申請をした(チャプター11)、

③   一方的に支払延期を求めてきた

④   L/Cの開設で合意したのに決済の時期になってもL/C開設をしてこない

⑤   契約内容を強引に変更したいと言い出した

⑥   注数量を減らしてきた

これまで直面したことのある代金回収のリスクを思い出しただけでも、これだけあります。

予測不能な事態があるからこそ手数料を支払ってまでも、商社に仲介を依頼してくるわけです。

そこで商社のビジネスの極意が役に立つわけです。

銀行保証の進め方

 
取引先との間で想定できる支払リスクを具体的にイメージして、その場合の対応方法を考案し、銀行保証に保証を依頼するわけです。

A  具体的な問題を記載する

上記の①の場合は、取引先が倒産したため代金を取り立てる先が不在になった。

もし、銀行保証として買い手が倒産した場合、買い手の持つ債権は全て銀行が支払う、と保証されていれば問題は激減しますね。

ただし、まだ製品を引き渡していない場合はどうするか?

製品を完成した時点で、銀行が代金を支払うと規定しておくか、半完成品の状態までの代金を銀行が支払うと規定しておくかで、違いが出てきます。

製品をどこに納めるかも問題になります。

もし倒産した会社の工場に運び込もうものなら、不良債権を抱えた債権者たちの間で、取り合いになるわけです。

だとすれば、完成した製品を転売するのが得策となり、どのように転売していくかを誰が考え、転売できた時の転売額の幾らかを転売ブローカーに支払うことになるわけです。

これとて、転売できそうな品物と、転売が難しいしものがあります。

このあたりを慣れていない人が、海外の買い手と交渉し、銀行保証を了解させるのはかなりハードルが高いですね。

だとしたらリスクの想定と、その対応策、銀行保証との交渉を慣れている商社に依頼し、でリスクヘッジするほうが効率なのです。

難点は、銀行保証にはそれなりの金がかかります。

リスクが高ければ高いほど、銀行側も高いボンド(積立金)を要求してきます。

勿論、あまりにも財務状況が悪い会社だった場合、銀行とて保証を断ってくる可能性は十分あります。

その場合には、親会社保証と銀行保証で保証金を半々にするとか、複数の銀行と保証契約をして、一行での負担を軽減するとか、いろいろとやり方があるのです。

それも含めて商社はまるで当たり前のように、やってのけます。(それが仕事ですから、当然ですけれども)

コンファーム付の信用状一覧払い

 

L/C決済で合意したものの、L/C開設銀行が倒産してしまったら代金回収の後ろ盾がなくなった事になりますね。

日本の銀行の倒産はめったに聞きませんが、海外では意外にも多いのです。

たとえばメキシコあたりの普通預金の年利20%とか、アルゼンチンで25%とかありますよね。

あれって、倒産のリスクが高すぎて誰も預金してくれないから、利率を上げて客を集めるしか方法ないわけですよ。

実際、南米とかの銀行なんてボコボコつぶれるし。

本来、潰れないはずのアメリカの銀行も2017年に入ってからデカイのが5行くらい閉鎖しています。

だから銀行に話をつけるにしても、潰れない銀行を選ばなければ意味がないわけです。

通常だと契約締結の際にL/Cの開設銀行を指定するか、一流銀行(first class bank)という漠然とした言い方で倒産のリスクのない銀行を指定します。

しかし、なにが一流銀行なのかなんて外からじゃ全然わからない。

金を貸しすぎて債権回収が全然できていないとか、ギリシャの国営企業に多額の貸し付けがあって、いつデフォルトでドボンするかわからない。

とにかく人の金でメシを食っている奴は、かりにバリッと一流スーツを着こなしていようが、その中身はわからないのです。

この場合、やっぱり蛇の道は蛇なんです。

あの銀行はヤバいとか黒々した噂は細い隙間からはがれこんでくる。

さて、そのとき商社が使う手は、日本の銀行にコンファームで支払保証を付けてもらうわけです。

L/C開設銀行の信用問題と、その国のカントリーリスク(戦争、革命、デモ、。。等)で支払が受けられないときにもコンファームつきであれば代金回収がスムーズになります。

これも商社の極意のひとつですが、ビジネス相手の気分を害さないように、サイレントコンファームというものが存在しているのです。

 誰にも言わずに、念のために二つ目の保証をこっそりつけておく。

開設銀行が一流であれば、サイレントコンファームはさほどコストはかかりませんからね。

貨物出荷後の代金送金

 

契約書だけを信用して品物を出荷するわけですから、まさに性善説に立脚した取引条件です。

この場合には事前に取引先の財務状態をじっくり見なけえばなりません。

もし、多額の借入金があったり、ここ数ヶ月の財務状況が悪い場合には、出荷と同時に代金回収できる方法に切り替える提案をするか、取引を中止してしまったほうが賢明です。

 

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貨物出荷後の代金送金

 

契約書だけを信用して品物を出荷するわけですから、まさに性善説に立脚した取引条件です。(銀行保証が付いていれば安心ですが)

この場合には事前に取引先の財務状態をじっくりとプロの目を通して見なければなりません。

もし、多額の借入金があったり、ここ数ヶ月の財務状況が悪い場合には、出荷と同時に代金回収できる方法に切り替える提案をするか、取引を中止してしまったほうが賢明です。

社長とか会長が資産家であれば、連帯保証人になってもらうのも手です。

性善説、性悪説

  

世の中には取引相手の仕事ぶりにケチをつけて、代金を値切ってきたり、支払を遅らせようとする性質の悪い会社がいくつも存在しています。

実際に商社で海外の企業を相手に仕事をして痛感するのが代金回収の難しさです。

日本の企業みたいに約束は守るためにある、などと性善説をかざしていたら痛い目を見ることになりますから、少しでも自分に有利な契約を結ぶようよう知恵をしぼるのです。


たとえば、外国の会社と日本円で契約した場合、為替リスクは相手側にあるわけです。


円高が進んで、取引相手にとって支払額が膨らんでしまつた、ということは珍しくありませんね。

為替リスクを負うと合意した会社が、先物予約をするなりしてリスクヘッジするのが普通なのです。

ところが、先物予約しているにも関わらず、あたかも円高によって不利益を被ったかのようにクレームを発してくる会社があります。

円高になって自社が代金決済的に不利になった。

「円高の原因は日本政府の政策にある」とか「安倍政権が悪い」とか「日銀の黒田のせいだ」とか無茶苦茶な因縁をつけてくるわけです。


これ、わかっていて言ってくわけです。

先物予約はしているから、そのタイミングには予約した金は使わなければならない。

でも、それまで支払を伸ばせば、金利で少し稼げる、という作戦です。

その証拠に、為替が円安に振れても、円高に振れても、あるタイミグがくれば払ってくるわけです。

なぜならば、先物予約の期限をこえたら逆に不利益になってしまうから。

こうなってくると、まともに話し合いなどできるわけはありませんね。

わざと話の歯車がかみあわないように立ち回るのですから。

こんな金利稼ぎのようなせこい 問題が起こってから、「相手の主張が狂っているのです!」と社内に報告を上げたところで、「カントリーリスクを考慮していなかったおまえが悪い」という事になってしまうのです。

だから代金回収は相手がどんなに非常識な言動に出ても、何一つ問題なく淡々と金を取り立てられる策を講じておかなければならないのです。

  

ヤバイ会社とは

 

簡単に注文が取れたとしたら、相手はヤバイ会社だと疑うべきです。

ヤバイといのは、経営状態が悪く物を仕入れることができない会社、もともと金を払うつもりがなく自己破産宣言をする前に金目の物をできるだけ多く保有しておこうと考えているとか、仕入れた製品を転売して逃げてしまおうとか、いろいろあります。

会社を設立しては、倒産し、また別の会社を設立しては倒産させる。

こういうのが韓国に多いんです。

 だから、販売する相手の信用度を把握し、それに見合った代金回収の手段で契約締結するのがビジネスの極意なのです。

 一方、歴史ある優良企業とて必ずしも安心というわけではありません。

代金回収の望みのない不良債権を山ほど持っている優良企業は確かに存在するわけです。

だとしたら、優良企業だろうが、ヤバイ会社だろうが、確実に代金回収できる対策を契約締結の際に講じるべきなのです。

 

最もシンプルなのは、品物と代金の交換

 

「品物を渡すかわりに、代金を支払ってください」

これは取引をする際に最もシンプルな代金決済です。

信用状決済(L/C決済)が、製品と代金の交換のようなイメージですね。

貨物を出荷した時のB/LINVOICE,保険証券あたりを銀行に提示することで代金を回収するというやりかたです。

 

ところが、L/C決済だと不利になってしまう製品もあるのです。

 L/C決済に向いている商品は、転売が効くものです。

たとえば、自動車だったらどうでしょうか。

もし買い手側が「予算がなくなったから購入するのをやめたい」と言い出した場合、自動車なら別の客先に転売できるわけです。

勿論、契約締結していますから、ドタキャンの責任を問い詰めるのですが、製品そのものは他の客先に販売が可能です。

ところが、自動車を製造するための専用設備だったとしたら、「予算がないから要らない」と言われても他に売れる客先などいないわけです。

契約金額100%をL/C決済(L/C AT SIGHT)にしてしまっていたら、出荷しない限り代金回収ができないわけです。

品物が出来上がっているにもかかわらず、やっぱり要らない、といわれたら困りますよね。

勿論、製品完成ののち、キャンセルした場合は代金100%を支払う事、と契約書で合意していたとしても、その代金を回収するのはかなり厄介です。

なぜなら相手には、支払う金がないわけですから。 

自動車を製造するための専用設備のような客先のオーダーメイド製品の場合には、少なくとも50%程度は事前に代金回収しておくべきなのです。

たとえば、契約締結時に20%、設計完了時に30%、製品出荷時に40%、製品が買い手側に到着た時点で10%、等になります。

この場合、契約金額の50%は前金として受け取っておきますから、その分は安心です。

残りの50%をどうするかが問題になります。

50%分は銀行保証としておくのが賢明ですね。

取引先がしっかりした会社で財務状態も良好で、契約した製品をキャンセルする可能性が無いと判断できれば、怖いのはカントリーリスクだけですから、コンファーム付のL/Cで代金回収は問題ないと考えます。

もし、会社として問題はないものの、些細な事で支払延期を求めてきたり、代金の減額要請などをするような雰囲気があるとしたら、スタンドバイL/Cで有無を言わさずに代金回収をしてしまうほうが得策でしょう。


 
つまり、合意したタイミングで支払をしてこなかったら時の対策、契約そのものを白紙に戻したい、等々を商社はビジネスの極意として、常に考えているのです。

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