メンタルの崩壊まで仕事へと駆り立てる:責任感とこだわりの二重構造

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「もう充分だよ」が伝わらない    

 

「もう充分がんばったじゃないか。

あとは俺たちに任せて身体をやすめろよ」

というねぎらいが彼には通じない。

 

 

頑として仕事から離れようとしない。

 

 

このままじゃメンタルが崩壊しておかしくなる、

とたしなめても耳をかそうとしない。

 

 

何が彼を仕事へと駆り立てているのか?

 

彼なりの理由があって譲れない。

 

 

ここまでやれば一区切りつく、

という分岐点にまだ達していないからと彼は言う。

 

 

 

責任感の強さにも度が過ぎている。

 

 

義労困憊のうつ状態だから

仕事にミスがではじめているじゃないか。

 

 

慎重な性格が幸いして、

自らミスに気付き修正する。

 

 

はたから見ると、疲れが招いた悪循環。

 

 

だが、本人の口からは。

「今、俺が倒れるわけには行かない。

この状況で細かな事情を把握しながら

仕事を進められるのは自分しかいないのだから」と。      

 

うつ病の先には  

 

 

うつ病の先の道は3つに分かれている。

 

右にカーブする先には精神科医が

患者の受診にそなえている。

 

 

真ん中の道を進むと、落とし穴が掘られていて、

ズコンとはまって尻餅をついた瞬間に

気分がハイテンションに一変する。

 

 

躁転。

 

うつの底が抜けると、

躁になるという、あの躁病だ。

 

 

左にカーブしながら緩やかに

上昇する坂道は果てしなく長い。

 

 

行けども、行けども上り坂は続く。

 

 

へとへとになって精も根も尽き果てたとき、

ちょうど高台に到着する。

 

 

その先は断崖絶壁。

 

 

引き返すしかないと、

普通の人間は考える。

 

だが、彼にはもはや戻る力など残っていない。

 

 

「ここで終わりにするのも悪くないか」

と心の中で呟く自分がいる。

 

 

飛び降りてしまおう、

ここでキッパリゼロクリアーしてしまおう、と。    

 

 

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メンタルの崩壊へと駆り立てるもの  

 

精神の崩壊へと駆り立てるものは何なのか?

 

 

自らの命を投げ打ってまでも執着し、

食い下がらなければならない仕事とは

いかのあるものなのか?

 

 

客観的な目で見る限り、

共感も納得もできない事情だ。

 

 

仕事と彼を、こだわりが密着させている。

 

 

自分にしか手出しできない複雑な

難題があるのだと思い込んでいて、

みずから進んで両手両脚を仕事に

絡みつかせていっている。

 

 

彼の頭の中は、自分がやらずして

誰がやるのだという思い込みで汚染されている。

 

 

命をかけて、自分にしか対応できない仕事が、

いまここに存在していると、

証明しようとしているように思える。

 

 

 

どうやら仕事から離れられない

理由は二重底になっているようだ。

 

 

無責任になりきれないまじめさが最初の底。

 

 

二重めの底には、彼自身も、

もしかしたら気付いていないのかもしれない。

 

自分の価値を周囲に認めさせようという、我の強さとこだわりなのだ。

 

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