「キモい!」の一言がいじめの発端に
「キモい」の一言がいじめの発端になることを知っておいてください。
何気なく発したキモいが発端で連鎖反応を起こすし、引きこもり・ニートへと発展してゆきます。
”キモい!”から直感的に連想されるイメージは?
日陰のジメジメした所に生息するグロい昆虫や、奇形の両生類、片足を戦争で吹っ飛ばされたハーモニカ吹きの帰還兵が脳裏に浮かびました。
「キモい!」と言い放った人には、見た目少しだけ自分の好みにそぐわないという些細な理由があったのでしょう。
いじめの原因に発展するなど思いもよらないのです。確固とした根拠なく発せられただけなのです。
女子高生や若いOLさんのキモいのイメージはゴキブリ、蛇、帰還兵というより、
むしろ 度の強い瓶底メガネをかけたダサイ予備校生だったり、
満員電車で股間を押し付けてくる汗臭いサラリーマンだったりします、たぶん。
でも、そこまで深く考えずに使えてしまうのが「キモい」という言葉なのです。
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キモいには、いじめの原因が寄生する粘性 がある
しかし、そんな上っ面のイメージと同時に「気持ち悪い~!」・「キモい奴!」にはもっ粘性の強いいじめの原因が寄生しています。
「キモい!」と他人に言い放つ側の人は、どれくらい本気で気持ちの悪さを感じているでしょうか。
人が感じる不快さは、冒頭のグロい昆虫から始まり、満員電車の汗かきデブ中年までバリエーション的にはかなりの幅があります。
それどころか長所の裏返しを気持ちの悪いものととらえる事も珍しくはないんです。
「キモい!」は実にお手軽かつ有効なフレーズなんです。
並外れた記憶力や集中力の頭脳王。
容姿端麗かつ、なんでもそつなくこなすノーミス人間。
誰にでも優しく、親切なおばさん。
さすがに、いじめの原因とはなりえませんが、こんな人たちですら、
長所とは真逆の揶揄にさらされることは珍しくないんです。
「裏の顔があるにきまっているよ、なんかキモくない??」というセリフが想像できるのです。
「気持ち悪い~!」・「キモくない?」には、
今の若者(もちろん、すべての若者ではありませんが)が好んで使う
「ヤバイ」に低通するお手軽さがあり、
なににでも適用できるオールマイティーさが宿っています。
同時に言われた側が否定しきれない、どんな相手にもぴたりと寄生してしまう強烈な生命力があるように感じられるのです。
ひとたびキモいのレッテルを貼られたら最後、
どんなに抵抗してもそこから抜け出せない強い粘性があるのです。
「キモい!」には、いじめの原因が寄生していて、助けて!と消えたい!へと深い所でつながってるのです。
いじめの原因の言葉が、引きこもりやニートへのドミノ倒しと化すのです。
子供が学校から帰ってきて、どこかいつもと違ったとき、そんなレッテルを貼られて帰ってきたかを疑ってみるべきなのです。
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いじめの発端は使い勝手のよい「キモい」のフレーズ
アイツ勉強できるし、見た目も悪くないけど、なんかキモくねえ?と一人が言って、
残りの3人がその時の気分で同意すれば、そこでキモいのレッテルは成立です。
「気持ち悪い~」とか「キモい」はほとんど主観だけでの形容だから、
理由のこじつけなんていとも簡単。
「卑怯」、「ずるい」、「フェアーじゃない」、「だらしがない」、、、こんな形容ならある程度の客観的な理由がなければ周囲は納得しません。
でもキモいには、それがない。
だから「気持ち悪い~」は無意識に使われて、いつの間にかいじめの原因として機能し、引きこもりを生んでゆくのです。
あの娘、顔立ちが美人すぎてなんか気持ち悪くない?
あの人頭が良すぎて気持ち悪い、何されるかわからないしね。
なんであんなにお金持ちなの、悪い事でもしているんじゃない? 気持わるい。
あの子、なにをやらせても普通だよね。わざと目立たなくしているの? 気持ち悪い。
夏休みあけたら急に大人っぽくなって。何かあったのかなあ?気持ちわるい!
トイレに落とした10円玉、そのままポケットにいれちゃったよ、気持悪い~!
こんな具合で、どんな状況でも使える形容を、悪意を持って使う子供がいると、そこの空気が変わってくる。
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いじめの起点「キモい」を見極める
「それは、単なるあなたの主観でしょ。
みんなの前で、そんな事を言うもんじゃないよ。
気持ち悪くなんかないじゃないの!」
と事態の変化点を敏感に察知して反論してくれる者でもいないかぎり、
嫌な流れが静かにうねり始めます。
だからここを潰しておかないと、いじめに発展するリスクが高いんです。
しっかり殺しておかないと、引きこもりを生んでしまうのです。
「なんかあの子さあ、気持ち悪くない?」
始めは単なる思い付きで、いじめの原因だなどと考えもしていない。
でも、面白半分で膨らんでいくんです。いじめっ子でない子供も賛同していく。
そうなったら斜面を転がり落ちる雪だるまですよ。ドミノ倒しのようにいっきに突っ走ります。
あっというまに飲み込まれ、不登校やニートを生むことになってしまう。
助けて!消えたい!と叫んでも、誰にも止める事はできない。
職場の嫌がらせや、いじめでも、無意識に使われています。
学校の先生やカウンセリングの先生は、このドミノ倒しの起点を注意深く監視しなければならない。
そこにはいじめとしての加害者意識などこれっぽっちもないんです。
誰も責任を自覚しないまま、まるで自己増殖的にいじめが深刻化していきます。
誰の胸にも、自然に膨れ上がったという意識しかないんです。
最初に言い出した子供がいったい誰だったかも忘れ去られてしまう。
すでに被害者の子供は完全にキモい奴に仕立て上げられてしまっているのです。
心の中で、涙を流しながら、助けて!消えたい!と叫んでいる。
そして最後に最悪の事態を迎えることになる。そんなメカニズムなのです。
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