パニック障害の原因
パニック発作を経験した人ならわかると思いますが、恐怖と驚愕なのです。
「いったい、この恐怖感は何なんだ!」と。
わけがわからないのです。とにかく理由なく、ただただ恐ろしいのです。パニック発作がなぜ起こるか?自分の頭の中でいったい何が起こっているのか?
パニック障害の原因とメカニズムを理解する事が、治癒の近道となる方々が大勢いらっしゃると思い、この記事を書かせて頂きました。
なぜならパニック障害の患者さんは真面目で、問題を納得できないと前に進めないからなのです。
そして、 薬物がどのようにパニック発作を抑え、薬の効果を実感し、あなたをあの不安と恐怖から助け出し、それまでの健康なからだに一歩一歩近づいて行くかをご理解いただけると幸いです。
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パニック発作が起こる原因とメカニズム
人がストレスを感じたとき、側頭葉の奥にある扁桃体が反応します。この扁桃体は情動の中枢機能をつかさどる細胞のあつまりです。
扁桃体の情動反応は人間どうしがコミュニケーションをとるうえで大切な機能を果たしています。
扁桃体が反応することで、気持を表情に表わすことができるわけです。 楽しい時、悲しい時、怖いとき、腹立たしいときの感情を表現するために大切な機能なのです。
この反応のなかで、怖い目にあったとき、危険が差し迫った時に扁桃体は青班核にSOS信号を送るのです。
青班核とは脳幹にある神経核で、ノルアドレナリン作動性ニューロンを含んでいます。
危険が差し迫ったとき、扁桃体が青班核に信号を送り、青班核がノルアドレナリンを放射するわけです。
青班核の神経系は、大脳・視床・海馬・小脳・延髄など、脳の主要部部と線維でつながっていますので、ノルアドレナリンは身体のありとあらゆる機能へと送り込まれるわけです。
ノルアドレナリンとは脳内伝達物質のひとつで交感神経系に作用し、覚醒・興奮・集中力を高めるはたらきを持っています。
適度の量のノルアドレナリンは、やる気やモチベーション上げてくれる役目を果たし、ここぞという時の集中力を高める働きをします。
しかし、一度に多量のノルアドレナリンが分泌された場合、危険に直面したときの臨戦体制をとることになってしまうのです。
昔、狩猟によって食物を捕獲してい頃、人々はが猛獣を目の前にして、槍や斧で立ち向かっていいました。その緊張を全身にもたらすのです。
危険に直面すると、逃げるか、戦うかの選択に迫られます。
両腕、両脚の筋肉は緊張でガチガチに硬くなり、心臓は全身に全力バクバクと血液を送り込むわけです。
呼吸が激しくなり、酸素を取り込むのです。
なんら大きなストレスに直面したわけでもないのに、突然この状態に叩き込まれるのがパニック発作なのです。大昔の人間の生理反応が現代人の中にものこっているのです。
一言でいうと、扁桃体の異常により、ウソのSOSが青班核に送られた結果引き起こされる臨戦体制状態なのです。
パニック発作そのものは、人間が狩猟民族であった頃から受け継がれた生理反応ですが、扁桃体が異常に暴走してしまうのが、現代病なのです。
日々、ストレスに囲まれた生活で現代人はヘトヘトになっています。
脳内の扁桃体も、本来、喜怒哀楽を感じ取るはずが、ネガティブ感情の連続で、いつのまにか些細な事にもストレス反応をするようになってしまっていいます。
そしてある日突然、暴走した結果、パニック発作を引き起こそうととなってしまう。
この段階まで扁桃体が疲弊してしまっていると、一度の暴走だけでは済みません。
いわば暴走癖がついてしまったがごとく、日々、青班核にSOSを出し続けてしまうわけです。
しかし、パニック発作は長くても10分程度でおさまってしまうものです。
つまり、青班核が強烈な勢いでノルアドレナリンを分泌できるのはせいぜい、10分程度というわけです。
水鉄砲と同じで、たまった量がきまっていて、無尽蔵に分泌できるわけではないのです。
一番の敵は予期不安
ノルアドレナリンが爆発手的に分泌されている時は、それは恐ろしい状態です。
でも、それよりもなによりも厄介なのが、予期不安なのです。いつ、またあの恐怖に突き落とされるか、という不安です。
パニック発作が起きたらヤバイなあ!
起きたら嫌だなあ!
大丈夫かなあ?
心配だなあ、ああ不安で不安でいられないよ!!
これが、予期不安です。
これを押さえ込んでくれるのがベンゾジアゼピン系の安定剤です。
いわば対処療法みたいなものですが、この薬が実によく効くのです。即効性があるので、「おっ効いてきた!」となるわけです。
パニック障害に長いあいだ苦しめらえている方々は、予期不安を払拭しきれないでいる人々です。
パニック発作が起こるメカニズムを理解すると同時に、予期不安を理解し、薬が予期不安をどのようにコントロールしてくれるかを知る事が大切なのです。
脳の中になる大脳辺縁系という部位(帯状回、扁桃体、海馬、海馬傍回、側座核、、、)に青班核からアドレナリンが放出されることで、予期不安を引き起こすと言われています。
これって、ちょっと難しいですねえ。
予期不安とは、一言でいうと嫌な事を思い出してしまうという事です。
なぜ思い出してしまうのかというと、パニック発作の原因をはっきりと理解していないからなのです。
原因がわからないから、疑心暗鬼になり、繰り返し繰り返しあの恐怖をみずから手探りしてしまうのです。
恐怖に叩き込まれたきっかけをしっかりと理解できていないから、予期不安に取りつかれるのです。
自分で自分をどう守ったいいかがわからないから、予期不安に取りつかれてしまうのです。
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パニック発作の原因を脳機能不全として医学的に理解する
青班核が分泌したノルアドレナリンは大脳辺縁系(帯状回、扁桃体、海馬、海馬傍回、側座核)の交感神経を高ぶらせ、本来の機能を悪い意味で発揮してしまうのです。
帯状回 : 呼吸器の調整、意思決定、共感、感情による記憶
扁桃体 : 恐怖感、不安、悲しみ、喜び、直感力、痛み、価値判断
海馬 : 恐怖、攻撃、目・耳・鼻からの短期的な記憶や情報の制御
海馬傍回 : 顔の認識、地理的な風景
上記の機能がノルアドレナリンの大量分泌によりネガティブに反応するわけです。
呼吸が乱れ、意思決定が鈍り、恐怖感でいっぱいになるわけです。
これ、パニック障害のメカニズムです。
呼吸をつかさどる脳の神経を興奮させるから、呼吸がはやくなる。
心臓をつかさどる脳の神経を興奮させるから、心臓がバクバク動く。
手足の筋肉をつかさどる脳の神経を興奮させるから、手足がガチガチに緊張する。
そして繰り返しになりますが、ノルアドレナリンの大量分泌はマックス10分間です。
10分間で蓄積していたアドレナリンは使い切ってしまいますから、それ以上はでないわけです。
薬物の効き目①
パニック障害で精神科病院や、心療内科を受診すると、抗不安剤を処方されるのが一般的です。
この抗不安剤(安定剤)は、ベンゾジアゼピン系の精神安定剤が大多数です。
これらの精神安定剤はどのように脳に作用しているかを理解してください。
ベンゾジアゼピン系の安定剤は、ベンゾジアゼピン受容体に入り込み、更にその奥にあるGABAをGABAa受容体に結合させます。
すると、CIイオン(Cl-)が細胞内に流入し細胞内は過分極の状態になり、神経の興奮がおさえられるのです。
ノルアドレナリンによって興奮状態でピリピリしている神経を、抑え込むわけです。
薬物の効き目②
これとは別に、予期不安が起きないようにもっと根っこの部分を治療しようという方法が存在します。
ノルアドレナリンの大量分泌をコントロールする薬も存在し、それも処方されています。
これはセロトニンとういう脳内伝達物質を増やす事で、ノルアドレナリンをコントロールさせようというものです。
これは、脳内セロトニンを増やすし、セロトニンにノルアドレナリンをコントロールさせようという考えです。
抗うつ剤のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)を使って、脳の中にセロトニンを増やすという方法です。
SNRIという薬で、セロトニンとノルアドレナリンの再取り込みを阻害する薬も存在します。
上記のSSRIやSNRIで効果が得られない場合、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの3つをすべて取り込み阻害する三環形抗うつ剤が試されることになります。
最も効果の高い抗うつ剤であると同時に、パニック発作にも高い効果が見られます。
まとめ
①パニック障害は日頃のストレスの蓄積が、脳内の扁桃体を疲労させ、誤動作する事で発生する。 ②扁桃体は青班核に誤った強いSOS信号を出し、青班核はノルアドレナリンを異常分泌させる。 ③青班核と線維で結ばれた脳の部位の交感神経を刺激し、人の感情、肉体を臨戦体制へと変貌させる。 ④本当の闘いであれば臨戦体制は当然必要だが、戦うべきでない時に身体と脳が臨戦体制をとると、どうなるか?これがパニック発作状態である。 ⑤ひとたびパニック発作を経験した人は一概に恐怖&驚愕を覚える。あの恐怖は一体なんだったんだ!! ⑥恐怖の原因がわからない事が、よけいに不安をあおりたてる。これが予期不安。 ⑦予期不安の対処として、即効性のあるベンゾジアゼピン系の安定剤で交感神経をなだめる。 ⑧それと並行して、ノルアドレナリンの調整を取る為に脳内のセロトニンを増やす薬を使う。効果が表れるまで2週間以上はかかる為、気長に!
パニック発作の仕組みが理解できれば、薬に対する信頼性も高まり、薬物治療の効果もより自覚できるようになります。大丈夫です、必ず治ります!!
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