非定型うつ病:甘やかされて育った人たちなのか?

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OLさんの非定型うつ病

 

非定型うつ病は、医療関係者でないとなかなか理解しづらいうつ病症状を現わします。

一般的に言われるのは、患者本人にとって好きな事は楽しんでできるのに、気の進まない事となると、とたんに尻込みしだす。

身体が重くなってきて、意欲が落ちとても行動できる状態ではなくなると言います。

まるで、わがままな子供が選り好みでもしているかのように見えるのです。

怠け者にみえちゃうんですよ。

甘やかされて育ったせいだという人もいます。

そんな心の病からついつい勤め先を休みがちになり、いよいよ不調が深刻だとなって精神科を受診するのです。

「身体が鉛のように重く朝起きるのが辛い、なにもやる気が起きない、頑張れない」と症状を説明する患者に、精神科医はうつ病であるとの診断をくだすことになります。

長期の休暇を勤め先に届け出て、本格的に薬物療法に専念することを進めるわけです。

しかし、長期休暇が会社に承諾されたのをさかいに患者の気持ちは激変します。

いっきに晴れ晴れモードに突入です。

朝起きて、会社に行かなくとも良いとなっただけで、それまでの症状がウソのように消え去ってしまうのです。

 

脳内で何かが起こっているのです

長期休暇を利用して、旅行に行く計画を立てる患者も少なくない。

こんな病状説明が散見されるのが、非定型うつ病なのです。

専業主婦の非定型うつ病

 

ところが、もっと複雑でわかりづらい例も存在します。

OLさんの場合は、好きな事と、気の進まない事の区分が「仕事と、休日」のように明確でわかりやすい。

ある専業主婦の方の例

  彼女はパートをしているわけではないので、仕事が原因で体調不良になってるわけではない。
 普段の生活のなかに精神的ストレスが隠れているわけです。
 何もやる気が起きないという症状で頑張れないのです。夕飯の献立を考えるのがもっとも苦痛だといいます。
 それと部屋の掃除もどにもやる気にならないとのこと。 
 つまり、普通に主婦が仕事としている家事が嫌になっているわけです。 

そこで、夫が土曜日と日曜日に一週間分の夕飯の献立を考え、調理し冷凍にしておくことにました。

夕飯のおかずは1食につき2種類。

月曜日から金曜日までの五日間分として、10品の料理を作り、冷凍保存することにしました。

土曜日と日曜日は作り置きでなく、その都度作る。


さらに家の掃除も土曜日か日曜日に集中的に実施する。

完全に夫から甘やかされているように見えますが、家事ができないという病気なのです。

妻は洗濯と趣味の小物造りを日課としていて、精神科医が処方し向精神薬をしっかりと服用する。

絶対に飲み忘れない。

 

多少の波はあるものの、最近(精神科と心療内科を受診して10年目で)ようやく安定してきたのです。

小物作りで知り合った友人や、子供が小さい頃にできたママ友とのお付き合いも大きな助けになっていた。

精神科と心療内科を何度か変えたものの、今通院している病院には6年くらい通っている。

薬の処方も何度か変えてきたものの基本方針は変えていない。

しっかりとした薬物処方でじっくりと時間をかけて様子を見ていく方針です。

ようやく、ある程度落ち着いてきて薬の量を減らしかけた矢先に、非定型うつ病の症状がぶり返したのです。

 

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ご本人の父親(80歳)が末期ガンであると判明したのが発端です。

屋外で転倒して脚の骨を骨折し、手術することになり、全身麻酔の事前検査として呼吸器系統の検査をしたときに肺に陰があることがわかり、後日の精密検査で末期ガンであると判明したのです。

既に、手の施しようがないため本人には告知せず、脚の手術後の歩行訓練へと進むことにしました。

 

その父親は妻(76歳)との二人くらしで、娘(専業主婦)の家からは車で40分ほどのところにいます。

 

父親は手術後にすぐにでも家に帰ることを希望するものの、満足に歩けるわけもない。

トイレや風呂を一人で済ませられるようになるには、1ヶ月程度のリハビリは必要なのです。

母親はリハビリが無事に終了するまでは家に戻られても亭主を支えきれないと弱気になっているのです。

 

このタイミングで娘(専業主婦の女性)の非定型うつ病が再発したというわけです。

自力だけでは歩行が不自由な父親は、一日でも早く退院して家に帰るの一点張り。

母親はそんな夫を支えきれないと親はリハビリしてから帰宅すべきと譲らない。

さらに、父親はいつ体調が急変するかわからない末期の肺ガンを患っているのです。

 

専業主婦は再びベッドから起き上がれない状態に陥りました。

もちろん10年来服用している向精神薬と安定剤は続けています。

それでも体調は安定しません。

「どうしたらいいのかわからない」と言って泣くばかりです。

 

落ち着かない気分と、不安感でどうしょうもないといい、安定剤を多めに飲み下して脳をボートさせる事で一日一日をやり過ごすのです。

もちろん、趣味の小物づくりなどできるわけもありません。洗濯も山ほどたまったままです。

 

 

 ところが、ここで非定型うつ病の特徴がみられたのです。

高校3年生の息子さんの部活動の試合観戦。

いままでも試合があるたびに子供らの母親が応援に行くのが常で、それを楽しみにしていたのです。

試合前日の夕方あたりにベッドから起き出し、食事もとり、テレビを見て笑うようになりました。

試合当日も体調は父親の一件の前の同じくらいまで戻ってきました。

体調の激変です。

家族と話し、笑うまで急激に復調しました。

趣味の小物造りでは気分を高揚させることはできなかったのが、息子さんの部活動の試合の応援は気分を変える力を持っていたようです。

息子の不活動の試合応援が、専業主婦の脳内で何かを起こしたのです。

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普通のうつ病(定型うつ病)は脳内の分泌物質の異常が引き起こす不快な症状です。

イライラし、不安を感じ、落ち着かす、死にたいとさえ思う。

夜も眠れない状態がつづくき、どうしたらいいのかわからないのです。

ところが、息子さんの部活動の応援に行く日の前日、魔法のように不快な状態がきえたのです。

病気にストップをかけできたわけです。

3日間の部活動の試合の間だけ、別人のように活発になったのです。

 

しかし、その3日が過ぎてしまうと、あれだけ大声で応援していた人が激変し、まるで別人のように意気消沈している。

試合が終わったすぐ翌日から不調を訴えだすのです。

異様なまでの激変ぶりです。


どう話しかけたらいいのか、接し方がわからない。


再び、心が壊れたのです。

 

 
  オセロゲームで盤一面の純白が、隅を黒に取られたおかげでものの見事に黒色に反転したような変化です。

表を裏にひっくり返したかのような前触れ無しの変化なのです。

 

この原稿の冒頭で非定型うつ病患者の特徴を取り上げました。

勤め先を長期スパンで休み、うつ病の療養に充てた瞬間から一気に容体が改善してしまう。

そして旅行に出かけてしまうという例です。

 

まさに体調の表と裏。

専業主婦の場合でも、かつて旅行が体調改善をもたらしたことが何度かありました。

子供の夏休みを利用して、親子三人で旅行に出かけると決めた日から体調の改善に寄与するのです。

書店や図書館から情報書籍を集め、インターネットで最新情報と照らし合わせてノートにまとめ上げてゆくことから楽しんでいるようでした。

もちろん、旅行当日に具合が悪くなることなどありえません。

本人にとっての楽しみが、体調の改善に直結しているのです。

 

子供の高校入学とともに、旅行にでかける機会は失われました。

その代わりになったのが部活動の応援だったのです。

父親が末期ガンであることを知ってから、初めて見せた笑顔がまさに息子の部活動の応援だったのです。

 

父親が末期ガンであることに変わりはありません。

治る見込みもありません。

専業主婦にとって心にかかった雲が晴れるのは息子の部活動の応援の以外にはないのでしょう。

 

父親が亡くなって、思いっきり悲しんでで、気持ちの整理をつけるという一大イベントを乗り越えるまでは、部活動の応援以外に彼女の脳内で起こっている異常事態を平常化させる薬はありえないのかもしれません。

 

二つの違い

独身女性がうったえた非定型うつ病の原因は仕事で、その改善の為に最も有効なのが勤め先の長期休暇でした。

見違えるようにハツラツとし、意欲が行動力となって現れたのです。

一方、専業主婦の場合は、料理や掃除などの家事が原因で、夫がそれらを引き受けることで徐々に体調が改善してきました。

ところが、高齢の父親が末期ガンであると知った瞬間から、強い精神的ストレスを抱えることとなり再び体調が悪化したのです。

 

処方された薬を服用してはいるものの、まるで10年前に逆戻りしたかのように薬の効果が途切れてしまった。

焦燥感、不安、苛立ちが一気にぶり返したのです。

父親が末期ガンで命を落とすと知った事が、普通の人が感じるストレスの何倍もの重圧で彼女にのしかかってきたのです。

それが非定型うつ病が精神に及ぼす影響なのです。

 

ところが、息子の「部活動の応援」が向精神薬をはるかに凌駕するインパクトを与えた。

部活動の試合の3日間だけ、きっかり3日間だけ、焦燥感、不安、苛立ちから解放されたのでした。

 

深堀してみます

独身女性の場合はもともと家事にエネルギーを費やす必要はありません。

実家に住んでいるとしたら、学生時代の延長として食事の支度も掃除も彼女の仕事にはなってないでしょう。

ひとり暮らしだったとしても、食事は気ままにコンビニ弁当や外食で済ませているでしょう。

掃除だって本人さえ気にならなければ適当に済ませる事ができるわけです。

ところが仕事となれば、そうはいきません。

人間関係、時間厳守、義務責任等々、がそれまでの生活に上乗せされるわけです。

これが非定型うつ病の原因です。

 

一方、専業主婦の場合は独身の時になかった家事が上乗せされた。

そして薬物治療である程度緩和・安定した体調に父親のガンという問題が上乗せされたわけです。

 

原因と結果という視点で見ると「仕事、家事、身内の病気」が原因で、結果として「非定型うつ病の症状」が現われているといえます。

 

同じ原因に見舞われても、何ら病的な症状を発しない人もたくさんいます。


しかし注目すべき点は同じような因果関係の不調をうったえるひとが増えてきているという点なのです。

たまたまではなく、統計的にみても増えてきているのです。

焦燥感、不安、苛立といった、時間の経過とともに発生しがちな不調がオセロゲームの駒をひっくり返すように、瞬間的に激変する点です。

脳の働きをつかさどるドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンが急激に噴出したり、ストップしたりするイメージなのでしょうか?

 それよりも、むしろ脳のある一部が関与しているように思えてならないのです。

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以前、ブログで発達障害の天才ピアニストについて書かせていただきました。

野田あすかさんに関する記事です。

彼女にも、非定型うつ病ではありませんが、一瞬にして健常者へと変貌と遂げる激変の瞬間がありました。

子供にピアノを教える瞬間に野田あすかさんの様相がガラリと激変しました。

普段機能していない脳のある一部が急に作動したかのように、ひとりのピアノ教師として子供らにピアノを教えたのです。

非定型うつ病について、本当の原因はいまだに解明できていません。

定型うつ病同様に、脳内伝達物質のアンバランスが原因であろうとする見方が大方なのかもしれません。

 

しかし、その患者数が激増する昨今、原因の究明アプローチ根本から見直すタイミングだと思うわけです。

スイッチをオン・オフするかのように、何かが原因で気分が激変してしまうというとらえ方で検証すべき時と考えるわけです。

 

定型うつ病と同様の病症を示すからといって、同系統の精神疾患であると決めつけるのが、そもそもの間違いであるように思えるのです。

抗うつ剤を2ヶ月間のみ続け、服用量も充分になり、薬が脳に十二分に行きわたって初めて不調改善みられる定型うつ病と、非定型うつ病を同一視する場合ではないと思われるのです。

 

参考ブログ
『医者でも手ごわい新型うつ病・非定型うつ病、普通のうつ病との違い』
 『精神科・軽症ほど薬が効かない、そんな患者を敢えて拾っていこうとうする試み』

 

 

 

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