『A LIFE ~愛しき人~』沖田の試練・もう一つの横顔

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手抜きなしの120%準備でオペに向き合う医師を描くから、あの演技になるんですよ。

こんな風にストーリーだったら、どうでしょうか?

 「ちょ、なんだこれは!」
患部を除去してバイパスを通すつもりだったが、心臓そのものが奇形である。

「これじゃ、患部を切ってもバイパスを通しても意味ないぞ。こんなのMRIには映っていなかった」
沖田は天を仰いで絶句した。
何日間もかけてイメージしてきたオペの想定外の事態が発生した。
すでに、30分が経過しているが、現場は凍りついたままだ。

沖田の斜め後ろから開口した患部を覗きこむのは、沖田のオペの評判を聞いて、是非勉強のためにと立会いに参加した33歳の若い外科医だ。
国立の帝都大学医学部付属病院に2ヶ月前から勤務している。
マサチューウセッツ総合病院に5年間勤務した後、母校の大学病院に戻ってきたのだ。

「あっ、沖田先生、その奇形心臓ですが、ワタシに切らせていただけませんか?」
「なに言ってんだお前!」と沖田の語気が荒くなる。
集中に横槍を指すなといわんばかりだが、実際集中などできていない。
焦りばっかりが先立ち、インスピレーションが沸いてこない。
元来、オペ前の準備が成功の8割以上を締めるという信念でここまできた沖田には難しい局面な のだ。

「沖田先生、ワタシこの心臓奇形に似たのを見たことあるんですよ」
「うむ、それ、どこでだ!」
現物じゃないすけど、医学雑誌に載っていたのを今朝読んだばかりだった。
「その雑誌、お前今持ってるのか?」
「はい」

 世界5大医学雑誌のなかでも最も歴史のある マサチューセッツ内科外科学会発行の“New England Journal of Medicine”だ。
インターネット配信される雑誌の最新号をカラープリントアウトした紙の束。 

心臓の奇形を解説したページを開いて見せた。もちろん、全て英語で医学用語の羅列である。

「こんな論文いま現場で見せられたった対応できないだろう」
「大丈夫ですよ。ワタシが切りますから」
「お前、この論文ちゃんと読んだのか?」
「今朝、通勤途中の電車で目を通しました」
「目を通した程度で、オペできるのかよ」
「でも、このままじゃ、患者さん亡くなっちゃいますよ」
「そりゃそうだけどさ、上に相談した方が、、、」
「相談している時間なんてないですよ。沖田先生が切るか、ワタシが切るかです」

こいつは一応、オペの論文だけは読んでいる、俺よりもマシか?しかし、読んだといっても通勤電車の中で目を通したに過ぎない。
こいつに切らせた場合、執刀医は俺になるのか?だから気楽に構えているのかもしれない。もし、そんな軽い気持ちでいるならオペをやらせるわけにはいかない。

消毒液で手を洗う奴の背中が見える。
こいつは今、何を考えているんだ?

「おい、お前!」
「黙って! 今、イメージを作っていますから」と真剣な声が響いた。
こいつ、本気で切るつもりだ。

 患者を挟んで沖田と向かい合う形となった。
執刀医の位置に沖田はいない。
オペナースのすぐわきに先ほどの学術論部を持つ係りが一人追加された。
「沖田先生にかわり、ワタシが執刀します。外科部長、院長の許可はとっていませんので、ここでの手術の責任は全て私にあると認識してください。それではあらためて、、、、、」
手術は奇跡的にも成功裏に終わった。“New England Journal of Medicine”に掲載れた実例を応用のオペとなった。

「お前さあ、マサチューウセッツ総合病院に勤務していたんだっけ?」
「ええ、2ヶ月前までですけど」
「毎回、こんな綱渡りみたいたオペしているわけ、あの病院では?」
「事前に取り決めたオペをこなすのが普通です。それも超綿密に検証されたプロセスをロボットみたいに忠実に再現するのが外科医の仕事。でも、ほとんどのドクターは常に最新の医療を頭に入れておけって指導されている。今日ワタシがやったオペは、今朝配信された医療雑誌の最新号を参考にしてるんです。事前の準備と、切って患部の現物を見たとき、なんか微妙に違うなって感じる事あるじゃないですか。そこをどう対応するか、その為にありとあらゆる知識を詰め込めるだけ詰め込んでオペ室に入るんです。」
「だから、その微妙な違いにも対処できるように、120%の準備をするんじゃねえの?」
「その通りなのですが、今日みたいな事前準備と桁外れに異なる患部が現れること多かったんですよ、あの病院。とにかく難病患者ばっかり。アメリカそのものが移民の国だから、いろんなパターンの病気があって事前の準備だけじゃ網羅しきれない症例がどんどんでてくる。あっ沖田先生もアメリカの病院に勤務されていたじゃないですか?」
「あっ、おれの場合はさマサチューウセッツ総合病院みたいに、凄い患者ばっかり運び込まれるのと違っていたから、、、。で、知識を詰め込めるだけ詰め込んでオペ室に入って、それからどするわけ?」
「イメージ的には、最新の医療技術も、従来の医療技術も、事前準備イメージトレーニングも全部頭にいれて患部を切るんです。患部をじっくり見て、そこで要らない知識を一気に捨てるんです。ドバーッとバケツの水を捨てるみたいに気前よく。だって、要らない知識を詰め込んだパンパンな頭じゃオペできないじゃないですか」

沖田とは違ったタイプの完全主義者がいた。
それも、当たり前のようにその完全主義を繰り返している。
そのとき、沖田の眉間に深いし皺が刻まれた。

 

 

華麗な手さばきで難病の患者のオペをこなすストーリー展開だから、ら、沖田先生はあの演技になるんです。

毎回ワンパターンみたいに木村拓哉をの演技を揶揄するのを目にするけど、インプットがワンパターンだったらアウトプットだって、そうなるでしょ?

オレから言わせれば、木村拓哉をイメージして脚本が作られている。従来の木村イメージで、もう一発当てようというプロデューサーの魂胆でストーリーは構成されている。
監督も十二分に承知していて、演技に余計な味付けをしよとしても許されないのでしようね。
もしも、木村拓哉が沖田先生を阿部寛みたいなボソボソしたしゃべり方で演技したって、リーガルハイの堺雅人みたいに捲くし立てしゃべりをしたって、誰も名演技だとは納得しないでしょ。

だったら、「A LIFE~愛しき人~」のストーリーと、沖田先生の人間像をいじるしかないじゃないですか。

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