おバカ理論【トランプ大統領】自動車会社の生産戦略・販売戦略を無視

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アメリカ・トランプ大統領がビッグ3の首脳陣を呼んで、一席ぶったようです。
「自動車生産工場は国内に建設するように。国外はダメだ。その為の支援は考えている」と。
いきなり直球の経済政策をぶち上げたのです。
品位に欠けるというか、身勝手というか、傍迷惑というか、とてもアメリカ大統領の発言とは思えません。
森を見ずに、枝と葉を切りまくる暴走ぶり。
勢いだけはあるのです。

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この発言は今始まったわけじゃなく、メキシコへの工場進出を決めた自動車会社にとってはずっと頭の痛かった問題なのです。
トランプ大統領の思い描くイメージは単純で、米国民の雇用機会拡大で失業率を下げる。
すると潤沢はお金が、アメリカの各ご家庭に流れ込み、品物が売れて景気が上向く。『サルでも分かる経済学超入門』にでも出てきそうな、枝葉を端折ったシンプル理論です。

 

自動車会社の上層部の生産戦略・販売戦略を一切無視したおバカ理論。
トランプ大統領は、彼の理論が最悪のジレンマに落っこちるリスクをはらんでいると気付いていないのか?

 もともと、ビック3が考えていたのは、労働賃金の安いメキシコ(もしくは別の国で)で自動車を生産し、アメリカンに逆輸入するというものです。
もちろんメキシコ内での販売にも当てる。

それじゃあ、労働賃金の安い国で、どのクラスの車をつくるつもりなのか?

高級車なのか、低コストのコンパクトカーなのか?
当然後者を選択します。
安い車だからこそ、労働賃金の安い国で作らなきゃ利益を稼げない。

アメリカで、人件費の安い国と同じコストレベルで車が作れればいいですよ。
でも、そんなの無理じゃないですか。

 米国の自動車産業の競争力を奪っていたのは、米国の労働組合です。
最低賃金法とか、労働環境の改善とか。
アメリカ人に雇用の機会を与えるという事は、仕事と一緒に、心地よい労働環境と高い賃金を用意しなければならないのです。
トランプ大統領には、そういう実際の問題に対処する意志はないですね。
すべて、自動車会社任せとなるでしょう。

 MADE IN USAの車が思うように販売が伸びず、しびれを切らしたトランプ大統領が、「価格競争力のある自動車を生産しろ!」と言い出すのは目に見えています。
だって品質が良くて、価格の安い車を、アメリカ法人のトヨタ、日産、ホンダ、マツダが生産しているのですから、それ引けを取らない価格、品質の車を作らなければ売れないに決まっている。
かといって、アメリカ法人のトヨタ、日産、ホンダ、マツダを閉鎖させるわけにはいかない。
もっと安い車、もっと品質のよい車、これらをつくるのはビック3の責任なのだ、と言い出すわけです。

みなさん、アメリカの自動車メーカーと日本の自動車メーカーの文化の違いを考えてみてください。
改善活動、5S、トヨタのカンバン方式、日産・ルノーの共同購買、部品やプラットフォームの共用化、、、。
日本式の現場管理って物凄くシビアなのですよ。
工場のラインで働くオペレーターの歩く歩数まで短縮するように日々、改善活動がなされている。
万が一、生産ラインが停止でもした場合には、その原因を徹底的に追究して、再発防止策を策定する。
車の燃費効率を上げるための車体重量の軽減化に至ると、涙ぐましい努力の積み重ねです。

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先日、アメリカ製の自動車とメキシコ製自動車を故意にオフセット衝突させる実験がなされました。

結果、アメリカ製自動車に大きなダメージが見られなかったのに比べ、メキシコ製自動車にはかなりの破損があったとのレポートが上がっています。
ボディーを構成する鋼材の板圧や、スポット溶接の打点数がだいぶ違うのかもしれません。
安かろう、悪かろうとまでは言いませんが、労務費の安い国で作る車との色分けをしているのでしょう。

 

日本の自動車メーカーは、国内生産が空洞化すると批判されつつ、それでも生産拠点を海外に移してきました。
とても日本国内で生産した車では、価格競争に勝つ事ができないからです。

つまり、日本で車を安く作ることが出来ないと判断したわけです。
その根拠は、労働賃金の問題と、為替の問題。
円高になれば、海外出販売する価格が値上がりしてしまい、顧客は離れていくわけです。

トランプ大統領が強いドルを目指すのであれば、アメリカから国外に売れるわけないですよ。

 日本の自動車メーカーの喉元につきつけたナイフを、今度はアメリカの自動車メーカーに向けたというわけですね。
アメリカの景気を回復するための次の犠牲者はビッグ3なのです。

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