TV版『エクソシスト』ハンニバル・レクター博士を凌駕する悪魔的思考

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オカルト映画の金字塔『エクソシスト』のTV版がBSデジタルで放送開始されました。
全編10話との事。
本家本元の劇場版『エクソシスト』は1973年に鬼才ウイリアム・フリードキン監督で製作。
牛乳瓶の底のような超度厚の眼鏡をかけた、鬼才が放った映画史上最高のオカルトムービー。
後にも先にも、これを凌ぐホラーは出てきていない。

大半の日本人がこのオカルト映画で西洋の悪魔のやり口を知る事になったのです。
観客を恐怖に叩き込む西洋ホラーの演出で。

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ベッドがガタガタ音を立てて動き、悪魔の意を伝える。
空中に放り出された少女は、何度も上半身を大きく揺さぶらされ、、、。
徐々に変貌してゆく少女の顔面。
蒼白の肌に、かまいたちのような無数の傷。
それらは深く肉を引き割いて、傷口が爛れている。

映画の撮影中にはセットが全焼するという事件が起こったと言います。
そして9人もの関係者が奇怪な現象とともに亡くなっている。 

  映画版の冒頭、メリン神父はイラクの考古学発掘場で悪魔パズスの偶像を発見します。
この冒頭部の入り方がフリードキン監督の鬼才ぶりを思わせる。
悪魔イコール欧米社会の闇の支配と考えられがちですが、中東イラクの採掘場の雰囲気が悪魔とぴったり合うのです。
無機質で温かみのない殺伐感。
黒板を爪で引っかいたような嫌な感じを覚えるのです。

2時間に凝縮された映画版『エクソシスト』は、アメリカ人少女の肉体に取り付いた悪魔と、少女の肉体から悪魔を追い払おうとするエクソシスト(悪魔払い)との戦いが圧巻です。

ところが、BSドラマの第一回目放送を見た限りでは、映画版の焼き直しでもなく、映画版の細部を単に繊細に描いたような安直版ではないのです。
もっと闇が深く、人間の弱みに付け込む悪魔のエゲツナサが期待できる。

TVドラマ版のイントロダクション部では、悪魔払いの神父はものの見事に、悪魔に敗北します。

悪魔に取り付かれた黒人少年からの退去を命じるシーン。
両手両足をベッドにひもでくくりつけ、自傷を避けさせている少年に、聖水をふりかけ、聖書を読み聞かせて、悪魔に繰り返し立ち退きを命じる。
ベッドにくくりつけた紐が少年の手首足首に食い込み、血が滲む。

「少年から立ち去れ悪魔よ!」と神父は聖水を再び振り返ると、
「長居するつもりはないさ」と悪魔が野太い声で応じる。
次の瞬間、渾身の力を込めてベッドにくくりつけた緋を断ち切って少年がベッドに起き上がる。
少年の首から上が180度以上回転し、首の骨が砕け折れ、そのまま倒れて少年は息絶えたのである。

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映画版では悪魔に取り付かれた少女は180度首をひねって、薄気味悪くほくそ笑むのだが、TVドラマ版の方が現実的なのです。
悪魔に取り付かれた人間の無力さを演出して見せている。

 さて、ここからがTV版『エクソシスト』の幕明けです。
全編10回の放送として、悪魔が渦中の一家をどう引っ掻き回すのか。
憑依された娘が家族一人一人を、どんなふうに悲劇に突き落としてみせるのか。
最後には当然、悪魔払いと悪魔の一騎打ちが待っているでしょう。
そこに至る過程で、どういうふうに『悪魔的思考回路』を視聴者に見せつけてくれるのかが、このドラマの生命線となる。

単なる狩猟殺人、シリアルキラー、サイコパス程度であったら視聴者はみんながっかりするでしょう。

敢えて悪魔を真ん中に据えたドラマなのだから、ハンニバル・レクター博士を凌ぐ悪の思考で魅了しなければ見掛け倒しになってしまうのです。

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